酵母エキス
酵母エキス(こうぼエキス、Yeast extract) とは、酵母の有用な成分を自己消化や酵素、熱水などの処理を行うことにより抽出されたエキスのことである。主成分としてアミノ酸や核酸関連物質、ミネラル、ビタミン類を含み調味料や微生物の培地などに用いられる。現在の食品と食品添加物との分類では、酵母エキスは食品添加物ではなく、醤油や昆布エキスなどと同様に食品に分類されている。
酵母自己消化物
酵母自己消化物は、酵母の細胞を集めて破砕し、酵母自身に含まれる消化酵素の作用によって自己消化させたものである。これにより、酵母を構成するタンパク質が、うま味を持つアミノ酸や低分子のペプチド鎖に分解される。
酵母の自己消化物はオーストラリアのベジマイトを初めとして、マーマイト、プロマイト(Promite)、Oxo、Cenovisなど、各国の加工食品に用いられている。イギリスやアイルランドの Bovril という調味料は、BSE問題に関連して、それまで用いていた牛肉のブイヨンを酵母自己消化物に切り替えた。この措置は2005~2006年に行われたが、それ以降は牛肉に戻っている。自己消化物の他に、酵母の加水分解物も良く使われている。
加工品
ベジマイトやマーマイトのような市販の加工品は、酵母の培養液に食塩を加えて作る。食塩の添加は浸透圧による細胞の萎縮を引き起こし、死滅させて自己消化を促す。死んだ酵母は加熱によって完全に破砕され、食味を低下させる細胞壁が除去される。