脂漏性湿疹
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脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)とは、頭部や顔面にフケ様の付着物を伴う湿疹である。脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)と同義である。乳児・高齢者に多発する。なお、乳児に出現するものを乳児脂漏性湿疹と特別にいうこともある。
原因
皮脂中に含まれるトリグリセリドが、真菌(主に癜風菌というマラセチア属真菌)によって分解されて遊離脂肪酸が生じるが、それが皮膚を刺激して接触性皮膚炎を生じるのが一番の原因と考えられている。 また、HIV感染の初期症状として発症する事がある。それは、免疫によって増殖が抑制されていた真菌類が、AIDSによる免疫機能の低下によって増殖の抑制が出来なくなり、皮膚が大量の真菌に侵された結果であると考えられる。この他、皮脂中の過酸化脂質により刺激、ビタミン欠乏(B2・B6)・アルコール依存・ストレス・糖尿病・肝疾患が挙げられるが、原因が多岐にわたるため分からないことが多い。 また、外見的に清潔感を欠くことや、真菌=カビとのイメージから、患者当人の生活環境の清潔さに原因があるかのような誤解を招きやすいが、医学的には何らの関連も無い。
症状
頭部・顔面に落屑を伴う紅斑で、左右対称性はない。掻痒はあっても軽度である。この3点が重要な特徴といえるが、乳児と高齢者では、出現の仕方が異なることがある。
乳児脂漏性湿疹
前額部から頭部に強い発疹が出現する。乳児を過ぎると自然に軽快することがほとんどであるが、一部ではアトピー性皮膚炎に移行するものもある。
高齢者の脂漏性湿疹
眉毛部・鼻翼部・口囲に発疹が出現し、冬に悪化しやすいのが特徴といえる。一般的には根本的な治癒は望めないため、常に外用剤などでコントロールが必要となる場合が多い。
検査
癜風菌がKOH検査(皮膚真菌検査)で検出される。
治療
外用剤としてステロイド外用薬・抗真菌薬が使われる。その他、補助的に抗アレルギー薬・ビタミン剤の内服を行う。また、抗真菌薬のシャンプーが奏功する場合もある。
関連項目