縮尺

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縮尺(しゅくしゃく)とは、一般にある物の形を模した物や図面(模型設計図地図など)の1辺の長さの、実物の1辺の長さとのをいう。縮尺が1/10とは、実物の1mが10cmに、実物の10mが1mになっていることを示す。模型に関しては「スケールモデル」を参照。地図の場合の縮尺は、測量によって作成された地図上の二点間の距離と、現地における対応する距離とのである。

縮尺の大小

通常、縮尺は比の値として分子を1とする分数で表されるが、このときの分母に相当する数値を縮尺分母と呼ぶ。縮尺分母が大きい場合、「縮尺が小さい(比の値が小さいので)」と言い、縮尺分母が小さい場合「縮尺が大きい」と言う。例えば1/10の図と1/100の図を比べると、「1/100の図は小縮尺」であり、1/100の図と1/1000の図を比べると「1/100の図は大縮尺」である。 要するに、縮尺の大小=分数の大小であると言える。

縮尺以外の尺度用語

  • 倍尺(ばいしゃく) - 図面や模型が実物より大きい場合、1辺の長さの、実物の1辺の長さとの比をいう。小さな部品の設計図、小さな生物の模型などにある。「5/1」と記されていると、実物の5倍である。
  • 現尺(げんしゃく) - 図面や模型が実物を同じ大きさの場合をいう。「1/1」と記し、実物大ともいう。
  • Not to scale(略号:NTS) - 図面が均一の縮尺でない場合、あるいは縮尺という概念なしで作成されている場合に、その図面の尺度の欄に記す語。配線図、配管図、路線図などはこれに当たる。

地図の縮尺

地図の場合、縮尺の分数表記をコロンで記すことがある。縮尺1/2500の場合、「1:2500」のように記す。

地図上の距離と実際の距離の換算

地図上の距離から実際の距離への換算は、以下の計算式による。

地図上の距離×縮尺分母=実際の距離

例えば、「1/25,000の縮尺(地図)」の場合、地図上の1cmの実際の距離は25,000cm(=250m)である。

地図の大・中・小縮尺

日本の国土地理院の地図の場合、慣例として、1/500~1/2500を大縮尺、1/1万~1/5万を中縮尺、1/10万より小さい場合を小縮尺という。詳細は地形図を参照。

非十進法の縮尺

尺貫法ヤード・ポンド法が主流だった時代に、地図の縮尺としては「1町が地図上で1分」「1マイルが地図上で1インチ」の方が理解しやすく、そのような縮尺で地図が作成された。縮尺の呼称もそのまま「一町一分」「1 inch to 1 mile」等であったが、十進法表記をすればこれらは1/36,000と1/63,360である。メートル法導入で非十進法の縮尺体系が不便となり、多くは1/50,000など十進法としてキリの良い縮尺に置き換わったが、一部に昔の縮尺体系が残っている場合もある。また、十進法でキリの良い縮尺に置き換えた後に、たとえば1/25,000の地図において「2 1/2 inch to 1 mile」と近似縮尺を表示する場合がある(2.5 inch to 1 mile は 1/25,344)。

垂直縮尺を大きくする場合

高さ方向を実物に似せた、山脈の断面図とか立体地図模型(ジオラマ)などを作成する場合、水平方向の縮尺に対して垂直方向の縮尺を大きくすることがある。例えば静岡県の立体地図模型を水平縮尺1/10万で作ると、幅は約1.5mになるが、垂直縮尺も1/10万とすると富士山でさえ3.7cmの高さにしかならない。そこで、垂直縮尺を1/1万として、富士山の模型上の高さを37.7cmすることなどが行われる。