焼入れ
焼入れ(やきいれ、「焼き入れ」とも。quenching)とは、鋼をオーステナイト組織の状態に加熱した後、水中または油中で急冷することによって、マルテンサイト組織の状態に変化させる熱処理である。冷媒により、水焼入れや油焼入れの呼称がある。日本刀を鍛える際に用いられる手段でもある(日本語名詞「刃(やいば)」の語源は、ヤキハ(焼入れをした刃)である)。炭素量が0.3%以上でないと、焼入れ効果は期待できない。
鋼の硬さを増大させる目的で行われるが、靭性が低下するので、粘り強さを得るために、焼入れ後には焼き戻し (tempering) を行うのが一般的であり、両者をまとめて「QT処理」と呼ぶことがある。
焼入れは加工との順序に応じて全体焼入れと部分焼入れに区分される。全体焼き入れは加工前の材料全体に対して均一に行う物で、焼入れ後にもタガネやヤスリをはじめ機械加工が出来る程度の硬度が与えられる。部分焼入れはこれとは逆に、殆ど完成形態まで加工された部材に対して一部または表面のみに実施するもので、製造工程上それ以上切削が行われない前提で最大限の硬度を与える目的で行われる為、部分焼入れが行われた部材に対しては焼きなましなどの熱処理を行わない限り後加工を行うことが難しい場合が多い。[1]
関連項目
外部リンク
脚注
- ^ 伊藤眞吉 「鉄砲の安全(その4)」『銃砲年鑑』10-11年版、117頁、2010年