滑剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。203.95.50.245 (会話) による 2012年5月15日 (火) 12:51個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (Help:箇条書き)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

滑剤(かつざい)は、粉末固体顆粒状の素材を加工する際に、素材と加工機、また素材の粒子同士の摩擦を軽減させる目的で使用される添加剤。前者を外部滑性、後者を内部滑性と呼び、いずれも流動性・離型性を高め、加工性を向上させる。

錠剤・錠菓

錠剤錠菓打刻して製造する際に、原料となる粉末の流動性を高め、原料が製造装置に付着するのを防ぐとともに、表面に光沢を与える目的で、ショ糖脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルが使われる。合成樹脂など非食品に比べ、毒性の低さが求められる。

合成樹脂

合成樹脂成型時に、合成樹脂と加工機、また合成樹脂の粒子同士の摩擦を軽減する。炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アマイド系、金属石鹸系などの滑剤が用いられる。通常は外部滑性と内部滑性のバランスを考慮し、複数の滑剤を併用する。食器や食品容器に関しては、食品と同様に低毒性が要求される。

炭化水素系
流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどがあり、代表的な外部滑剤である。滑性効果は高いがポリ塩化ビニルとの相性は良くない。
脂肪酸系、高級アルコール系
比較的安価かつ低毒で、ステアリン酸やステアリルアルコールなどが用いられる。前者は内部滑性、後者は外部滑性を持つ。
脂肪族アマイド系
ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイドの脂肪酸アマイドと、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイドのアルキレン脂肪酸アマイドに大別できる。前者はポリエチレンポリプロピレンに使われるが、熱安定性を低下させるためポリ塩化ビニルに使われることは稀である。後者はポリ塩化ビニルやポリスチレン、ABS樹脂に使われる。
金属石鹸系
金属石鹸のうち、主にステアリン酸金属塩が用いられる。ポリ塩化ビニル用安定剤であるが、滑性作用も持つ。ステアリン酸鉛・ステアリン酸亜鉛は外部滑性、ステアリン酸カルシウム・ステアリン酸マグネシウムは内部滑性を持つ。
エステル系
アルコールの脂肪酸エステルの、ステアリン酸モノグリセリドやステアリルステアレート、硬化油などが使われる。内部滑性と外部滑性を併せ持つものもある。

参考文献

  • 戸田義郎・門田則昭・加藤友治編『食品用乳化剤 -基礎と応用-』光琳、1997年。 
  • 皆川源信『プラスチック添加剤活用ノート』工業調査会、1996年。ISBN 4-7693-4103-2 

関連項目