渋柿

『渋柿』（しぶがき）は、渋柿社による俳誌。夏目漱石の弟子、松根東洋城が1915年に大正天皇侍従として式部官在任中に主宰創刊。現在は渡邊孤鷲が主宰。 夏目漱石門下の小宮豊隆、寺田寅彦、安倍能成、鈴木三重吉等、直木賞作家の戸川幸夫、「零の発見」で知られる吉田洋一も投稿している。表紙の題字は漱石の揮毫による。

沿革

• 1915年（大正4年）に宮内省式部官であった松根東洋城が創刊主宰。
• 1916年（大正5年）正岡子規没後『ホトトギス』を継承した高浜虚子が、東洋城に無断で彼を『国民新聞』俳壇の選者から下ろし、代わって虚子自身が選者になったことを契機に東洋城は『ホトトギス』を離脱した。
• 1952年（昭和27年）東洋城は隠居を表明し、主宰を門下の野村喜舟に譲る。
• 1976年（昭和51年）徳永山冬子主宰。
• 1990年（平成2年）米田双葉子主宰。
• 1998年（平成10年）渡部抱朴子主宰。
• 2010年（平成22年）松岡潔主宰。
• 2015年（平成27年）渡邊孤鷲主宰。

名称の由来

1914年（大正3年）、東洋城が宮内省式部官のとき、大正天皇から俳句について聞かれ「渋柿のごときものにては候へど」と答えたことが有名となったことから。なお「渋柿」平成２９年３月号の谷本清流氏の文章によれば、もう一説あり、かつての漱石の〈能もなき渋柿共や門の内〉という句に和して、東洋城が、〈能もなき渋柿共が誠かな〉という句を作っていたことから「渋柿」に決まったと言われている。

関連項目

• アララギ
• 寒川鼠骨
• 俳諧