永久ヒューズ

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永久ヒューズは、ヒューズのうち、通常の電力ヒューズが1回だけしか使えないのに対し、繰り返し使用することができる製品である。PPF(permanent power fuse)、自己復旧型限流素子[1]とも呼ぶ。主に、大電力用途に使われる。 なお小電力用途の場合は類似する素子として、主にポリスイッチが使用される。

原理[編集]

永久ヒューズ内に閉じ込められている金属相変化を利用し、急激な過電流に対し、ヒューズ内の抵抗値を急激に上げて、限流することで、ヒューズの役割を果たす。

2つの電極間は金属ナトリウムで接続されている。それぞれの電極は中空であり、ピストン状になっている。ここにアルゴンガスが封入されている。また、電極は、熱伝導率のよいベリリア磁器で包まれ、さらに電極全体がセラミックで覆われている。全体はステンレス製の容器に収まっている。

過電流が流れると、金属ナトリウムが溶解気化し、急速に体積が増え、また、電気抵抗も増大する。体積が増えた分は、ピストン構造内にあるアルゴンガスが圧力を吸収する。については、絶縁体を通して、外部に発散させる。この間の遷移は100分の1秒程度である。

過電流が収まると、ナトリウムがまた固体に戻るので、通常状態に戻る。そのため、繰り返し利用ができる。

永久ヒューズは、単独で使用するのではなく、通常はブレーカーと組み合わせて使用される。

開発[編集]

製品は三菱電機が、1969年9月27日に発表した。開発は、生産技術研究所伊藤利朗が中心となって行われた。

参考文献[編集]

  • 大久保健児『技術史を拓した人々 II』日刊工業新聞社、1984年。ISBN 4-526-01765-5 

脚注[編集]

  1. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “ヒューズ(電気回路)(ひゅーず)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年12月30日閲覧。