工場法
工場法(こうじょうほう)は産業革命期において苛酷な労働を強いられた工場労働者、特に幼年労働者及び女子労働者を保護することを目的として制定された法律。骨子は労働時間や深夜業の規制である。
日本の工場法
工場法 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 | なし |
法令番号 | 明治44年3月29日法律第46号 |
種類 | 労働法 |
効力 | 労働基準法の施行に伴い廃止―昭和22年9月1日 |
主な内容 | 労働条件の規制 |
条文リンク | 施行時条文(長岡技科大) |
第二次桂太郎内閣にて農商務省による『職工事情』を参考に初めて同法が制定され、1911年(明治44年)公布、1916年(大正5年)に施行された。内容は
- 15人以上の工場に適用
- 最低就業年齢 - 12歳
- 最長労働時間 - 12時間(15歳未満および女性に限る)
- 休日 - 月2回(15歳未満および女性に限る)
- 深夜業禁止(22時から4時、15歳未満および女性に限る)
等であったが、製糸業では14時間労働、紡績業では女子深夜営業が認められていたため不徹底であった。1923年には最長労働時間が1時間短縮、適用年齢が15歳未満から16歳未満へ引き上げられた。更に1929年の改正では、年少者や女子の深夜業が全面的に禁止された。1947年、労働基準法制定により廃止。
日本以外の諸国の工場法
諸外国では19世紀以来、同様の法律が制定され改正を重ねており、また1919年に採択されたILO第1号条約では1日8時間・週48時間労働を定めるなど、労働条件・労働時間規制が進んでいたものの、日本においては成人男性に対する労働時間規制は戦前を通じて実現されず、1947年の労働基準法施行を待たなければならなかった。
イギリス工場法
18世紀末期から19世紀にかけて(1760年代から1830年代にかけて)、イギリスで産業革命が起こり、児童や婦人労働の強要、成人労働においても労働時間が1日12時間以上となるなど、労使関係のなかで、労働者は、生命や体力を搾取され、労働者の健康保持が課題となってきた。そこで、労働者は資本家に対する反抗をし始め、政府は、1833年に工場法を制定、1844年、1847年、1867年、1874年にわたって労働日・時間の短縮と少年婦人労働の制限などを柱に、下記のとおり改正された。
- 1833年制定時…9歳未満の児童の労働を禁止。9歳~18歳未満の労働時間を週69時間以内に制限。その監督をする工場監督官の配置を義務化(任命)。
- 1844年改正…女性労働者の労働時間を18歳未満の労働者(若年労働者)なみに制限。
- 1847年改正…若年労働者と女性労働者の労働時間を1日あたり最高10時間に制限。
- 1867年改正…繊維産業のみならず、50人以上の工場全般が対象となる。
- 1874年改正…週56時間労働制の実施(平日=月曜から金曜まで1日10時間まで、土曜は6時間まで)。
当時の工場労働者に関する文献
関連項目
- 社会政策学会 (日本 1897年) - 政策提言を通じて制定に貢献。