屋敷林
屋敷林(やしきりん)は、屋敷の周囲に設置された林。屋敷森とも呼ばれる。家屋の一方向または複数方向に配列された樹木群であり、風のエネルギーを低減させて、家屋を保護したり、多雪域では敷地内の積雪を少なくさせる効果もある。
概説
屋敷とは家の建っている敷地で、その敷地に林群を形成させる。一般には農家に防風や防雪の目的で設置され、特に家々が孤立している場合は有効である。家屋に対する屋敷林の方向(配置)には地域における共通性、系統性が認められる事が多く、その方向は当該地域において防ぐべき強風の風向を示している。 季節風が強い地域に多い。用途だけではなく、ある種の風格をもつステイタスシンボルにもなる。仙台平野の「居久根(いぐね)」、砺波平野の「垣入(かいにょ)」、出雲平野の「築地松(ついじまつ)」などが有名。
屋敷林の機能
- 防風
- 遮光
- 温度調節
- 落ち葉などによる燃料・肥料の調達
日本各地の屋敷林
関東平野
関東平野では武蔵野台地など、平坦な地域に風垣と呼ばれる屋敷林が発達した。特に多く見られるのは武蔵野台地の青梅市から狭山丘陵南部、利根川右岸の田園地帯、江戸川左岸の台地、赤城山麓などである[1]。その最大の目的は台風による家屋の屋根の破損を防ぐことで、樹種は常緑広葉樹が中心である[2]。
埼玉県の所沢市、狭山市にまたがる三富新田やその周辺では、短冊形の敷地の端に植えられた屋敷森が延々と連なる景観が見られる。
砺波平野
砺波平野では江戸時代以降、散居村と呼ばれる独特の集落が発達した。散居村は家々が離ればなれになって水田中に点在する形式の為、家屋の周りにカイニョと呼ばれる屋敷林を植えて風よけとした。