宅配ボックス
宅配ボックス(たくはいボックス、英語: home-delivery box)は、宅配業者や郵便局が、受取人留守の場合に荷物を入れておき、受取人に紙などで宅配ボックスに配達したことを知らせることにより荷物の受け渡しができる、ロッカー型の設備のことである。留守でも荷物が受け取れるため、共働きで昼間の宅配物の受け取りが困難な世帯や、インターネットショッピング等の通信販売をよく利用する人にニーズが高まっている。近年は特にマンションの共用設備として新築物件で導入が進んでいる。
利点
- 不在時でも荷物が受け取れる[1]。
- 再配達依頼する必要がないので再配達を待つ必要がなく時間を有効に使える。
宅配ボックスに入れることができない物品
以下の物品は、配達会社の規定あるいは宅配ボックスメーカーの規定により、正式に、宅配ボックスへの配達は禁止されている。
- チルド便、冷凍便
- 生もの(品名欄に「食品」と書かれていて生ものかどうか配達員が判断できない場合を含む)
- 書留
- 代金引換、着払
- 宅配業者による貴重品扱いのもの(ギフトの商品券、クレジットカード、セーフティーサービスなど)
- 送り主が宅配ボックスへの配達禁止を明示して差し出したとき。
※レターパックプラスは宅配ボックスに入れることができる。(郵便取扱マニュアル)
また、以下の場合は配達員の判断により、宅配ボックスに入れないことがある。
- 居住確認できない場合(受箱に表札が無かったり、宛名と表札の苗字が違ったり、宅配ボックスの液晶画面に表示される苗字が違うなど)。
- 宅配ボックスが満杯のとき。需要に比べてボックスの総数が元々少ない物件では、慢性的に「ボックス空き無し状態」になりやすい。
- 荷物が空きのボックスを超える大きさのとき。
- 重量物。概ね10kgを超えるような重量物は住人がボックスから取り出して運ぶのに労力がかかるため、宅配ボックスに入るサイズであっても、住民の負担を考慮して、宅配ボックスに入れないことがある。例えば水や米の通信販売など。
- 会員登録が必要な宅配ボックスにおいて、事前に会員登録がないとき。ならびに、入庫禁止を設定しているとき。
- 配達員が新人のため不慣れで、宅配ボックスへの入庫方法が分からないとき、または、宅配ボックスの存在自体に気付かなかったとき。
- 宛先住所欄の末尾に「不在時宅配BOX希望」と書かれていないとき。この旨が記載された荷物は、配達員は極力宅配ボックスに配達するように努める(ただし書留のような入庫禁止品を除く)。なお、宛先住所欄の末尾に記載せずに、伝票の備考欄や品名欄といった箇所に、宅配ボックスへの配達希望の旨を記載しても配達員がその記載に気づくことはない。
普及状況
マンション
1990年代以前に建てられたマンションでは設置率は低いが、2000年以降普及が進み、一定規模以上の新築マンションでは標準的な設備となっている。マンション情報誌の「ほしい設備」のベスト5に必ず入る設備として受け入れられている。
アパート
アパートは一般に世帯数が少ないため、コスト(数十万円以上)の問題から、宅配ボックスの設置率は低い。新築アパートであっても設置されないことが多い。
戸建住宅
戸建では、コストや管理維持の観点から、宅配ボックスが設置される事例は少ない。一部のメーカーからは、戸建住宅用の壁取り付け型の宅配ボックス商品も販売されている。
種類
宅配ボックスにはいくつかの種類があり、機能や操作方法がそれぞれ異なっている。
ダイヤル式
- 操作方法:宅配ボックスのそれぞれの箱の扉に4桁のダイヤルがある。配達員は荷物を入れ、ダイヤルを配達員自身がその場で決めた番号に合わせてこれを暗証番号とし、暗証番号と箱番号を配達通知書に記入して郵便受けに投函する。受取人はダイヤルを暗証番号に合わせることで扉を開き、荷物を取り出せる。
- メリット:操作が単純でわかりやすい。
- デメリット
- 暗証番号を記入した配達通知書が第三者に読まれたり盗まれる可能性など、セキュリティ性で劣る面がある。
- 宅配ボックスを住人が物置代わりに悪用するケースがあり、そのために宅配ボックスが満杯になることがある。
- 配達員が箱番号や暗証番号を記入漏れしたり、誤記入することがある。
電気式(コンピューター制御方式)
- 操作方法:液晶の表示・操作パネルがあり、操作パネルや音声で案内される手順に従って荷物を入れる。暗証番号の設定を必要とせず、居住者に予め配布されている磁気カードまたは非接触キーで扉を開き受取りができるシステムが多い。機種によっては配達通知書を内蔵プリンタで発行するものや、配達票を差し込むと受領印を押印する機能を備えたものもある。
- メリット
- その部屋の居住者だけが持っているカード等でしか取り出せないので、ダイヤル式に比べセキュリティ性が高い。
- 上位機種では、宅配ボックスに荷物が配達されると自動的に居住者宅のインターホン付近に表示される機種もある。
- 何月何日に荷物を入れたという記録がデータとして残るので、宅配ボックス管理会社は長期保管の荷物を容易に発見できる。そのため物置代わりに悪用される恐れが低い。(1か月以上入りっぱなしの荷物は宅配ボックス管理会社が回収し処分する規定になっているなど)
- デメリット
- 転入者への磁気カード発行費用などの維持コストがかかる(宅配ボックス管理会社への委託料)。
管理方式
- 自主管理方式
- 長期滞留荷物が入っていないかどうかのチェックはマンションの管理人などが行う必要がある。実際には宅配ボックス使用状況のチェックはマンション管理人の日々の管理業務になっていないケースが多いので、誤って何か月も荷物が入りっぱなしになっていても誰も気づかない。そのため空きのボックスが常に少ない状況となり、満杯になりやすく、配達員が入れたくても入れられないことも多い。
- オンライン方式
- 宅配ボックス会社がオンライン(電話回線など)で長期滞留荷物がないか毎日点検する。2週間程度入りっぱなしになっている場合は、郵便等で居住者宛てに通知を行う。通知してもさらに長期間入りっぱなしになっている場合は、宅配ボックス会社または依頼を受けた管理人が強制的に取り出すので、長期滞留荷物の防止に効果がある。オンライン方式が利用できる宅配ボックスメーカーは2014年現在はまだ少ない。
その他
- 出前の返却用食器専用の収容スペースを備えた機種がある(もちろん鍵はついていない)。
- コンピュータ管理されている機種では、居住者が宅配ボックスメーカーや管理会社に会員登録を行うことで、宅配便の発送やクリーニングの依頼に対応したものもある。
- 宅配ボックスと郵便ポストを同じ磁気カードや非接触キーで扉を開けることの出来る機種が高級マンションで設置されるようになった。
脚注
外部リンク
- 宅配ボックスメーカー