姿勢指示器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。アルビレオ (会話 | 投稿記録) による 2012年3月31日 (土) 01:18個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (用語修正)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

デジタル化以前のアナログ式姿勢指示器(球形部分)。左端に速度誤差を示すFast-Slow Indicator、下端に拡大ローカライザ指示器、右端にグライドスロープ指示器を併置。中央の紅白のバーは電波高度計に連動して上下に動く。

姿勢指示器(英語:Attitude indicator)とは、航空機に取り付けられる航空計器である。人工水平儀とも呼ばれる。AI、あるいはADI(attitude director indicator)などと略される事もある。

概要

姿勢指示器の透視図

航空機の姿勢を水平線と比べて表示するようになっており、ピッチロール(翼と機軸が水平か上向きか下向きか)を角度によって見分けることができる。また、外が暗く地平線・水平線が見えない場合や、霧や雪が激しく地面が見分けられないときなど視界が悪いときにも役立っている。空を青色か水色、地面や水面を茶色か黒色に塗り分けた球を背景に持ち、手前に表示された自機のシンボルマークとの対比で自機の姿勢を視覚的に把握できる。自機のシンボルマークは計器盤面に固定され、背景の2色の球が回転することで自機の姿勢を表現している。また、角度を示す白色のラインも表示されている。

現代の大型旅客機では、PFDプライマリ・フライト・ディスプレイ)とよばれるディスプレイにデジタル表示されている。

またかつてのボーイング747クラシックのようなデジタル化以前の大型機では、INUやIRUと呼ばれる慣性航法装置内ユニットからの姿勢信号をアナログ計器上に反映させて表示している。

小型機では、旧式のジャイロスコープを使用した姿勢指示器が主として使用されている。

固定翼機では揚力を得るためには迎角が必要で、その度量を制御するためにピッチ調整が行われる。水平飛行中であっても当然に揚力(すなわち翼迎角)は必要であり、飛行状況によって程度は異なるが水平飛行中でも概ね機首上げ姿勢を取る。そのため水平飛行中の姿勢指示器は必ずしもピッチ水平を示さず、水平飛行の指標には用いられない。水平飛行の指標には別計器である昇降率計を用いる。

予備の姿勢指示器

現在は、航空機のコックピットグラスコックピット化されていて、多くの姿勢指示器がデジタル化されている。しかし、デジタル化された計器に電源が切れるなどの緊急事態が発生した際のために、予備計器として旧式のジャイロスコープの姿勢指示器も設けられていることが多い。高度計速度計も同様に、予備計器として旧式のものが取り付けられていることが多い。しかし、ボーイング777以降の世代の航空機では予備計器も、非常用電源を使用するデジタル計器を別途設置するようになってきている。

小型機では、エアージャイロ式ならば電源がなくても稼動可能、電気ジャイロ式でも非常用電源でそのまま動くようになっているため、予備の姿勢指示器を別途備えているものはあまりない。

関連項目

外部リンク