南境貝塚
南境貝塚（みなみざかいかいづか）は、宮城県石巻市にある縄文時代早期～晩期の貝塚である。
座標: 北緯38度28分6.12秒 東経141度18分38.66秒 / 北緯38.4683667度 東経141.3107389度
概要
研究史は古く、大正時代には毛利総七郎・遠藤源七の調査が行われた[1][2]。山内清男による1929年頃の縄文土器型式編年表[3][4]には、「ダイギ10＝境1式」、「オオボラPreB３＝境2式」と記載され、それぞれのちの縄文時代中期末葉、後期前葉の標式となる土器型式として示された。なお、ここでいう「境」は南境貝塚のことである[3]。しかし、1937年に完成した山内清男の縄文土器編年表[5]には用いられず、陸前の後期編年は（+）（+）（+）（+）とだけ記された。
戦後の1957年、伊東信雄は『宮城県史』第1巻中の縄文土器型式編年で、後期は南境式・宝ヶ峯式・金剛寺式の3型式からなることが示された[6]。同じく1957年には、里浜貝塚の発掘調査成果に基づく縄文後期編年「宮戸島編年」が後藤勝彦によって示された[7][8]。山内清男編集の1964年『日本原始美術１』[9]の後期編年は伊東信雄の編年表をほぼ取り入れ、南境、宝ヶ峰、（新地）、金剛寺とした。1965年には林謙作の縄文土器編年が示され、後期は後藤勝彦の「宮戸島編年」をほぼ取り入れた形とした。
南境貝塚は1966～68年の5次にわたって土取り・開田工事に伴う事前調査が行われ、発掘調査を担当した後藤勝彦がその調査成果をまとめている[10][11][12][13]。自然遺物の調査は、金子浩昌によって行われ、100種以上の動物遺存体が検出され、縄文時代の生業研究にも大きな影響を与えた。
また、南境貝塚は骨角器研究でも著名であり、特に楠本政助(1960）によって「古式離頭銛」[14]、渡辺誠(1984）によって「南境型離頭銛頭」[15]の型式分類が行われ、現在でも指標の一つとされている。
脚注
- ^ 毛利総七郎・遠藤源七 1953『陸前沼津貝塚骨角器図録解説』
- ^ 石巻市 故毛利総七郎グラフィティ http://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/20102500/1138/1138.html
- ^ a b 伊東信雄1977「山内博士東北縄文土器編年の成立過程」『考古学研究 』24-3・4、考古学研究会
- ^ 山内先生没後25年記念論集刊行会1996『画竜点睛-山内先生没後25年記念論集-』
- ^ 山内清男1937「縄文土器型式の細別と大別」『先史考古学』1-1、先史考古学会
- ^ 伊東信雄 1957「古代史」『宮城県史』１
- ^ 後藤勝彦1957「 宮城県宮戸島里浜台囲貝塚出土の土器編年について」『塩竈市教育論文』２ 塩竈市教育委員会
- ^ 後藤勝彦1962「陸前宮戸島里浜台囲貝塚出土の土器について-陸前地方後期縄文式文化の編年的研究」『考古学雑誌』48-1、日本考古学会
- ^ 山内清男編1964『日本原始美術１』講談社
- ^ 後藤勝彦1990『仙台湾貝塚の基礎的研究』
- ^ 後藤勝彦2013『仙台湾沿岸貝塚の基礎的研究Ⅱ－南境貝塚－』
- ^ 後藤勝彦2014『仙台湾沿岸貝塚の基礎的研究Ⅲ －南境貝塚・その他の貝塚②－』
- ^ 後藤勝彦2016「南境貝塚各トレンチの型式と層位との関係の検討について」『宮城史学』35、宮城歴史教育研究会
- ^ 楠本政助1960「宮城県南境貝塚出土の離頭銛頭について」『東北考古学』1東北考古学会
- ^ 渡辺誠1984『縄文時代の漁業』雄山閣考古学選書７
外部リンク
関連項目
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