化学合成

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化学において、化学合成(かがくごうせい、chemical synthesis)とは化学反応を駆使して目的の化合物を作ることを言う。目的物が得られるまで数段階の物理的、あるいは化学的操作が行われる。得られた結果については、他の実験者による再現性があり、検証することができ、また確立されたものであることが求められる。

化学合成は原料となる化合物や試薬を選択することから始まる。目的物を得るための化学反応は様々なものが利用できる。得られた生成物の量を表すには2通りの方法があり、1つは重さで表した「収量」、もう1つは原料から得られる理論量にたいする百分率で示した「収率」である。

複雑な化合物の全合成においては、目的とする生成物を合成するまで多段階の操作と多大な時間・労力を必要とする。優れた有機合成の技術には賞が与えられ、特に価値の高い反応や合成が難しい化合物に対しては、ロバート・バーンズ・ウッドワードのようにノーベル化学賞が与えられる。もし、ある化学合成が一般的に市販されている化合物から何か新しい物を生み出すものであった場合は純粋に合成化学的なものといえるが、植物や動物から抽出されたものを原料とした場合には半合成と呼ばれる。

ある化合物 A を生成物 B に変換するまでの過程に関しては様々な経路を検討することができ、これは「合成戦略」と呼ばれる。多段階反応では1つの基質に対して化学変換を連続して行い、多成分反応においては数種類の反応物から1つの生成物が得られる。ワンポット合成は途中で生成物の単離生成を行わず、反応物に対して次々に化学変換を行う。

化学合成の原語「synthesis」の語を最初に使ったのはヘルマン・コルベである。

化学合成の語は狭義には2つ以上の基質を単一の生成物に変換する反応に対して用いられる。一般式で表すと

A + B → AB

ここで A と B は元素または化合物、AB は A と B の部分構造を持つ化合物である。具体的な例としては

2 Na + Cl2 → 2 NaCl (塩化ナトリウムの生成)
S + O2 → SO2二酸化硫黄の生成)
4 Fe + 3 O2 → 2 Fe2O3のさび)
CO2 + H2O → H2CO3 (水に溶解した二酸化炭素による炭酸の生成)

関連項目