前順序集合の圏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2017年1月4日 (水) 19:52; Gsubmodal (会話 | 投稿記録) による版 (→‎性質)(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

数学の一分野、圏論における前順序集合の圏(ぜんじゅんじょしゅうごうのけん、: category of preordered setsOrd は、すべての前順序集合英語版対象とし、単調写像とするである。二つの単調写像の合成はふたたび単調であり、また恒等写像は単調であるから、これは確かに圏を成していることがわかる。

性質[編集]

2-圏構造[編集]

二つの前順序集合を固定したとき、それらの間の射(単調写像)全体の成す集合は、実際には単に集合というだけではない構造を持つ。すなわち、点ごとの関係 fg :⇔ ∀x(f(x) ≤ g(x)) によってそれ自身一つの前順序集合を成す。前順序集合はそれ自体一つの圏と見なすことができる[1]から、それにより前順序集合の圏 Ord2-圏英語版となる(2-圏となるために追加で満たすべき公理が自明に満足されることは、細い圏英語版(各射集合が位数高々 1 となる圏)において平行射に関する任意の等式は常に真となる[1]ことからわかる)。

この 2-圏構造に関して、圏 C から Ord への擬函手英語版 F は、2-函手英語版と同じデータから与えられるが、満たすべき性質は以下のように緩められる[2]:

  • xF(A), F(idA)(x) ≃ x,
  • xF(A), F(gf)(x) ≃ F(g)(F(f)(x)).

ただし、xyxy かつ yx を意味する。

[編集]

関連項目[編集]