企業内教育

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企業内教育(きぎょうない きょういく)は、企業が従業者に対して行う教育のことである。企業内研修、社員教育、社員研修、社員教習など、呼称はさまざまである。

概要

企業内教育は、従業者(労働者)に対して業務に求められる能力を向上させるための教育と、従業者のマインド面に変化を起こさせるために行われるものとに大別される。

前者はさらに、「知識」や「技能(スキル)」を付与するための、いわゆるインプットタイプの教育と、従業者に内在している知識や技能を引き出して成功パターンを導き出すようなアウトプットタイプの教育に大分される。

一概に教育とはいってもその実施のされ方は様々であるが、SD(セルフディベロップメント=自己啓発)、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=仕事上指導)、OffJT(オフ・ジェイティ=集合研修)が一般に「教育の3本柱」と言われることがある。

このうち教育の中心となるべきはOJTで、あとの2つはそれの補完的なものという説も有力である。ただしOJTの実施主体者が、教育対象者の直属の上司である場合が多く、「上司側の教える力量不足」については、企業・組織の永年の課題であった。

確かに日本の組織における管理職など、部下を育成する立場にある者の指導力については、欧米に比較してウェットに過ぎたり、信念が無かったり、要するに弱いとされてきた。これは日本の文化や慣習などにも原因が求められようが、ここでは深く触れない。

OJTが雇用者の思うように進展しないとなると、OffJTによる仕事を離れての集合教育(研修)が重用されるようになる。この場合の指導者、つまり講師は大きく内部講師と外部講師に分けられ、前者は社内より指導者を抜擢するもので、後者は外部団体よりいわゆるその道のプロを講師として招くものである。 前者だと、社内事情や業務内容に精通しているものが教壇に立つという揺るぎの無いメリットが得られるが、担当する講師により指導の展開に極端な差が出るなど、所詮は内部の人による「会議の延長」という甘い雰囲気に流されることもある。 後者は、発注する雇用者側のリクエストに応じた内容でさすがはプロ、と言われるような研修を実施してくれるが、当然のことながらコストがかかる。(ちなみに売れっ子の研修講師になると、1日30~50万円程度はみておいた方がよい。有名人の講演にかかる出講料はそれ以上することも多いが、これはタレントへの出演料のようなものである)

企業内教育の内容

講習会

  • 特徴
    • 従業者が対象になるわけであるから、業務に関連した内容がほとんどである。
    • 多数の受講者を一室に集め行う。職場で行う場合もあるし、職場以外の場所で行う場合もある。
    • 講師は外部に委託することもあるし、企業内部の者が講師を務めるときもある。
  • 業務関係以外の研修
    •  精神鍛錬との名目で早朝のランニングを行う企業もある(それ単独というよりも他の研修と併せてというケースが多い)
    •  営業マン研修にみられる「人里離れた場所に置いてけぼりにして自力で目的地へ戻る」という研修

通信教育

  • 通信教育の場合、複数のプランが用意され、従業者が選択して行うことが多い(半強制的におこなう場合もある)
  • 通信教育の費用は、従業者の自己負担の場合が多い。助成金が出る場合もある。

本を活用した教育

  • 長寿企業においては会社の理念を教育するために社史を活かすケースがある[1]

報道等によって賛否が問われたもの

企業内教育の理念

企業内教育は、従業者が業務を適正にこなせるようにするものである。しかし、まれに自主退職などの形で従業者を辞めさせるべく精神的に追い込むために、無理な条件を提示したり、無味乾燥な作業に従事させることを「教育」と称し、リストラ対象とされた従業者を苦しめる行為も報道され、社会問題として問題視された例もある。

本来、従業者の能力向上を目的として行われる企業内教育であるが、これら問題視される実質的な従業者いじめ等では他の従業者にもストレスやフラストレーションを与えかねない部分がある。従業者が業務を行うにあたっての姿勢や業務処理の方向性については、現場の問題でもあるため、従業者の意見を尊重した方が良い結果を生むことも多い一方、組織統制の必要から従業者の自主性や主体性が十分に尊重できない例もある。

  1. ^ 浅田厚志「成果を生み出す社史の作り方」SMBCコンサルティング2011年

関連項目