中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会

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中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
団体種類 非営利団体
設立 2004年2月7日
所在地 東京都江東区亀戸7-10-1 Zビル5F
活動地域 日本の旗 日本
活動内容 日本のアスベスト被害者への相談や支援
活動手段 行政等からの寄付は受けず、会員からの寄付で運営
ウェブサイト [1]
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中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会は、2004年にアスベスト患者への支援を目的として発足した、日本で初めてのアスベストの患者団体である。会員数は約600人(2014年7月時点)[1]。各支部ごとに定期的に定例の会議や相談活動を実施している。全国的なネットワークを持つ患者団体としては唯一の組織であり、環境省の石綿健康被害救済小委員会などでは患者組織を代表する形でヒアリングなどに招致されている[2][出典無効]。2014年4月には北陸支部が結成され、2014年秋には14番目の支部となる東北支部が設立する。孤独になりがちな被害者やその家族らが支え合う交流の場を提供し、健康被害の相談活動や労災申請支援にあたっている[3]

支部

2014年7月現在で以下、13の支部がある。横須賀支部、関東支部、関西支部、ひょうご支部、広島・山口支部、尼崎支部、北海道支部、奈良支部、四国支部、東海支部、岡山支部、南九州支部、北陸支部[4]

相談役

会として会長や事務局等の役員体制を敷いているが、とりわけ相談役には医療や法律の専門家を配置して相談者の幅広いニーズに合わせた対応に応じている[5]。とりわけ、山口宇部医療センターの岡部和倫はアメリカのハーバード大学への留学経験を持ち、中皮腫治療・手術の第一人者である。「自身や家族の治療を誰に委ねたいか」の観点から評価がなされる「ベストドクターズ」に選出されている[6]。また、聖路加看護大学の長松康子は看護・緩和ケアの専門家であると同時に、子ども向けや外国人、看護師向けに中皮腫被害の情報を提供している[7][8]。また日本で唯一、英国での中皮腫患者の緩和ケアの実践を実地研修している[9]。また、弁護士の古川武志や位田浩はアスベスト訴訟弁護団の一員としてアスベスト健康被害の裁判を被災者の立場から数多く手がけている[10]

相談活動と新たな被害の確認

会長の古川和子は、「国内の石綿使用のピークは70~80年代。建設労働者の被害が多いが、様々な産業で使われたため、思いもよらない職業や業種に被害は眠っている。ひとりで悩まず相談してほしい」と被害者が潜在的に多いことを訴えている。古川自身、関西電力の火力発電所で配管等の溶接作業をしていた夫をアスベスト関連肺がんで亡くしている。夫の死後、他の被害者の労災認定の手伝いをするようになったが、「夫が病気で苦しんだ時に心を救ってくださったのは、医療関係者の方や、周囲の人たちの暖かい励ましでした。そして今度は私が、不幸にしてこの病気になった人たちの手助けをすることが夫への供養であると信じて活動を行ってい」る[11][12]。 古川をはじめとする会の関係者によってクボタショックと呼ばれる、兵庫県尼崎市における一般住民被害の確認や医療用ゴム手袋の再生作業における看護師や麻袋リサイクル業における労働者および周辺住民の健康被害の確認がなされてきた[13]

寄せられる相談事例

会には以下のような相談事例が多く寄せられるとしている[14]

「中皮腫は治らないといわれたが、治療法についてどう考えたらいいのだろうか」 「抗がん剤治療を進められているが、手術はできないか、ほかの医師の意見も聞いてみたい」 「同じ病気で治療している人の話をきいてみたい」 「夫が中皮腫の苦しさから自殺を図ってしまった。どうしたらいいかわからない。」

「労災認定を受けたいのだが、石綿を扱ったのがあまりに昔のことなので、なにをどう調べていいのか途方にくれている」 「労災申請したけれども、原因がよくわからないため、労災補償が受けられない」 「建設業で働いていて肺がんになったため申請をしようとしたが、医師に『タバコのせいで、石綿とは関係ない』と言われた」 「仕事でなったのに、労災が適用できないと言われている」 「環境再生保全機構によって、石綿健康被害救済法でとりあえず認定されたが、原因をもっと明確にしたいし、できるなら労災補償を受けたい」

脚注