中村春続
中村春続（なかむらはるつぐ、生年不詳 - 天正9年10月24日（1581年11月20日）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。初め大炊助、後に対馬守。
経歴
春続は山名氏に仕えた因幡中村氏の一族といわれる。史料上には永禄7から8年頃と推定される「山名豊儀書状写」に山名豊儀[1]の被官「中村大炊助」として登場するのが初見である。天正2年（1575年）には山名豊国の被官として吉川元春の許へ派遣されている。
天正8年（1580年）の羽柴秀吉の鳥取城攻撃の際、織田氏に降伏した主君の山名豊国を森下道誉らと共に鳥取城より追放、新城主として吉川経家を迎えた。翌天正9年（1581年）の第二次鳥取城攻撃では吉川経家らと鳥取城に籠り、秀吉軍と抗戦したが、兵糧攻めに遭い多くの餓死者を出すことになった。鳥取城は同年10月に吉川経家の切腹により開城、生前の経家が春続と森下道誉の助命を嘆願するも聞き入れられず、「因幡一国に戦乱を招いた罪」と「主君への裏切りの罪」で切腹を命じられ、10月24日の晩、吉川経家が自刃した同じ陣所にて自刃した。享年などは不明。なお、鳥取城内にいた春続の子供は父・春続の切腹後、保護されて吉川氏の家臣となったといわれる。
出自に関する異説
通説では因幡中村氏の一族と言われるが、これには異説が存在する。一説によれば春続は同国智頭郡の草刈氏の出身とも言われ、近年発見された播磨国の中村氏系図内にも春続の名が記されている。参考までにだが『中村家譜』（内題・因州中村家由来）には中村家を継承したのは春続の弟・春国と記されており、春国は医術を学んだ後に吉川氏に仕え、50石で召抱えられたとある。
脚注
参考文献
- 『鳥取県史ブックレット1 織田vs毛利 鳥取をめぐる攻防』鳥取県
- 『新修鳥取市史 第一巻 古代・中世篇』鳥取市
- 『天正九年鳥取城をめぐる戦い -毛利・織田戦争と戦国武将・吉川経家-』（鳥取市歴史博物館やまびこ館、2005年）
- 『因伯の戦国城郭 通史編』高橋正弘著（自費出版、1986年）