コンテンツにスキップ

ランチア・ベータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ChuispastonBot (会話 | 投稿記録) による 2011年8月6日 (土) 14:04個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.1) (ロボットによる 追加: cs:Lancia Beta)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

初期のベルリーナ
1982年シリーズ2・クーペ
スパイダー
HPE
モンテカルロ
トレヴィVX
トレヴィのユニークなダッシュボード

ランチア・ベータは、イタリアの自動車メーカー・ランチアが1972年から84年まで製造した乗用車である。1969年10月にフィアット傘下に入って初の完全な新型車で、前身のフルヴィア以来の前輪駆動は継承しつつも、フィアット・124125と共通の設計のDOHCエンジンと5速ギアボックスをダンテ・ジアコーサ式に横置きに搭載、フィアット・128で実績のあるマクファーソンストラット式四輪独立サスペンションを持ち、従来の特異な設計思想から、以後ヨーロッパの小型乗用車の主流となる設計コンセプトへの転換が図られた。しかし、設計チームは全員旧ランチアから選抜されて編成され、フィアットとは異なる乗り味の、良くバランスの取れたスポーティな上級小型車という位置付けであった。ただし、この時期のイタリア車の宿命ともいえる錆とは無縁ではなく、特に英国ではクレーム対策の失敗からメディアにも大きく取り上げられ、その後のランチア販売不振、90年代半ばの英国市場撤退(この結果、ランチアの右ハンドル仕様が生産されていない)の遠因ともなった。

ボディは当初独特な6ライト・ファストバックスタイルのセダン(ベルリーナ)一種であったが、翌年自社デザインによる美しいクーペ、74年にはカロッツェリアザガートが架装するタルガトップ式のスパイダー、75年にはスポーツワゴンのHPE(High Performance Estate)が追加された。また、ミッドシップ化したシャシーにピニンファリーナ・デザインのボディを着せた2シータースポーツカー・モンテカルロも派生車種として登場した。セダンは1980年になって、ノッチバックスタイルの「ベータ・トレヴィ」となり、79年から復活した伝統的な盾のモチーフのフロントグリルと、まるで月のクレーターのような特異なデザインのダッシュボードに変更された。

エンジンは当初DOHC1600ccと1800ccで出発したが、1976年にフルヴィアの最終モデル、クーペ1.3Sが消滅する際に廉価版の1300ccが、同年のマイナーチェンジで上級の2000ccが追加され、1981年にはスーパーチャージャー付きのVXモデルも追加された。

日本には1976年から対米仕様1800クーペが、6年ぶりのランチア正規入再開の第一弾として当時の安宅産業系のロイヤル・モータースから、安宅産業破綻・ロイヤル廃業後は元オペル総代理店であった東邦モーターズから導入されたが、対米仕様の巨大なバンパーと排ガス対策でわずか83馬力に落とされたエンジン出力など、本国版の魅力は大幅に減じられていた。80年代以降は、東邦やその後を継いで代理店となったガレーヂ伊太利屋によって、少数輸入枠を用いてクーペ1300、トレヴィVX、モンテカルロ等が輸入された。

参考文献

関連項目