ファットバイナリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年11月29日 (月) 14:26; イエスタディ・ワンスモア (会話 | 投稿記録) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

ファットバイナリfat binary)とは、コンピュータソフトウェアバイナリ形式の一種で、一つのソフトを、互換性のない複数のCPUで実行できるように各CPU用のコードを同時に格納した形式をいう。

ファットバイナリの用途[編集]

ファットバイナリが利用されるのは次のような場合である。

  • OSがベースCPUを変更した際に後方互換性を維持するため(MacintoshからPower Macintoshのケース)
    • バイナリ互換はあるが異なる最適化を持つ(PowerPC G5用の64ビットコードと32ビットコード)
  • OSが複数のアーキテクチャをサポートする(NEXTSTEPx86SPARC68kサポートなど)

このような場合、アーキテクチャを気にせずソフトを運用できるので、配布や管理面に優れる。ただし、使用されないアーキテクチャのコードを内蔵するためバイナリのサイズが大きくなる(このことがFATと呼ばれる所以である)。通常そのような領域を削除するユーティリティなどを利用する場合が多い。

実装例[編集]

Mac OSでは、旧来よりリソースフォークのCODEリソースに実行ファイルが収められており、Power Macではデータフォークに収めるというスタイルを採ることで実現している。一方のUniversal Binaryは、macOSにおいてリソースフォークをあまり使わない方針となったため、一ファイルに複数アーキテクチャのバイナリを収め、JavaによるプログラムでCPUを判定し、適切なバイナリを実行している[要出典]。JavaプログラムはJavaバイトコードとしてコンパイルされたものが、これら複数のバイナリの先頭に配置されている。そのため実行ファイルをバイナリエディタなどで表示すると、Javaのバイトコードであることを示すマジックナンバー (0xCAFEBABE) と各アーキテクチャ用のマジックナンバーが確認できる。