ヒルムシロ

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ヒルムシロ
ヒルムシロ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: ヒルムシロ科 Potamogetonaceae
: ヒルムシロ属 Potamogeton
: ヒルムシロ P. distinctus
学名
Potamogeton distinctus
A. Bennett
和名
ヒルムシロ

ヒルムシロ(麕舌、練石艸、爛石草[1]Potamogeton distinctus)は、単子葉類ヒルムシロ科ヒルムシロ属に分類される、浮葉性の水草である。また、ヒルムシロ属の種のうち、浮葉を展開するものの総称でもある。

特徴[編集]

楕円形の葉を水面に浮かせる。穏やかな流水条件化で生育することもあり、細長い浮き葉の形はそれへの適応かとも見えるが、などの止水にもよく出現する。

地下茎は泥の中にあって横に這い、水中に茎を伸ばす。茎には節があり、節ごとに葉をつける。葉は互生するが、花序のつく部分では対生することもある。

水中では水中葉を出す。水中葉は細長く、薄くて波打っている。次第に茎が水面に近づくと浮き葉を出し始める。浮き葉は細長い柄を持ち、葉身は楕円形で長さ5-10cm、幅が2-4cm位、先はややとがる。表側はつやがあって水をはじくが、ハスほどではない。葉はやや赤みを帯び、表側は黒っぽく、裏側は赤っぽく見える。

花は夏以降に出る。葉腋からやや長い柄が出て、先端に棒状の花穂がつく。開花時には穂は水面から出て直立するが、花が終わると横向きになって水中に入る。

秋になると茎の先は膨らんで芋状になり、越冬芽を形成する。

分布[編集]

池や用水路で普通にみられるが、水田周辺からはほとんど消失した。

日本では北海道から琉球列島まで、国外では朝鮮半島から中国、ミャンマーにまで分布する。

名前の由来[編集]

名前の由来は蛭筵で、浮葉をが休息するための筵に例えて名付けられたとされる[2][3]

利害[編集]

特に利用される例はない。

水田においては雑草と見做されるが、有効な除草剤が上市されたため影響は少なくなっている。

近縁種[編集]

水面を覆う葉(オヒルムシロ)

ヒルムシロ属の植物はすべて水草で、全世界に約100種、日本には18種ほどがあるが、浮葉を出すものと、全く出さない沈水性のもの(エビモなど)があり、はっきりした浮葉を出すものがヒルムシロとよばれる。なかには浮葉を少ししか出さないものもある。日本には、以下のような種がある。

ヒルムシロによく似たもの

形は似ているが、はるかに小さいもの(浮き葉の長さが2-2.5cm)

出典[編集]

  1. ^ 『府川光男【編纂】難読語辞典』太田出版、2005年1月。 
  2. ^ 内山りゅう『田んぼの生き物図鑑』(初版第1刷)山と渓谷社、2013年3月5日、232頁。ISBN 978-4635062862 
  3. ^ 関慎太郎『ポケット図鑑 田んぼの生き物400』(初版第1刷)文一総合出版、2012年7月30日、190頁。ISBN 978-4829983010 

関連項目[編集]