ニザダイ

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ニザダイ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ニザダイ亜目 Acanthuroiei
: ニザダイ科 Acanthuridae
: ニザダイ属 Prionurus
Lacépède,1804
: ニザダイ P. scalprum
学名
Prionurus scalprum
Valenciennes,1835
英名
Scalpel sawtail

ニザダイ(仁座鯛、学名:Prionurus scalprum は、スズキ目・ニザダイ科に分類される魚の一種。東アジア沿岸の暖海域に生息する。尾柄にある鋭い骨質板のため取扱いに注意が必要だが、食用にもなる。

日本での地方名は多く、バイオリン(石川)、クサンボウ(千葉)、サンノジ、サンノジダイ(関東-紀伊・四国)、ニザハゲ(三重)、ゼニモチハゲ(和歌山)、クロハゲ(関西・四国)、カッパハゲ(大阪)、オキハゲ(広島)、コームキ(長崎)、カワハギ(鹿児島)などがある。

特徴

成魚の全長は40cmほどだが、50cmを超えるものもいる。体は広葉樹の葉のような形でよく側扁し、皮膚は小さな鱗で覆われる。短い吻が前方に突き出し、その先端に小さな口がある。若魚は成魚に比べて体高が高く、尾鰭が白い。

体形はカワハギ類に似ており、実際にその名で呼ぶ地方もあるが、カワハギはフグ目で分類が異なる。また鰭の形状も異なる。

尾鰭の前には4-5個の楕円形の黒っぽい斑点が並び、このうちの3個は大きくてよく目立つ。関東から四国にかけての地方名「サンノジ」はこの斑点を漢字の「三」に見立てたものである。なおこの斑点部には堅い骨質板が突き出しており、つかんだりすると怪我をする場合がある。漁獲時などの取り扱いには注意が必要である。英名"Sawtail"(の尾)もここに由来する。

新潟・宮城以南の日本から台湾、および朝鮮半島南部の沿岸域に分布する。ニザダイ科としては最も高緯度に分布している種類でもある。沿岸や瀬の岩礁域に生息し、成魚は水深10m前後で群れを作る。主に石灰藻を食べるが、甲殻類や多毛類なども捕食する。

釣り、定置網、刺し網などの沿岸漁業で漁獲されるが、本種を狙って漁獲することはまずなく、市場に流通することもほとんどない。メジナ釣りなどの際に外道として釣れることが多い。掛かった際の引きは強いが、頭を振って竿が震えるためメジナなどと区別できる。

身は磯臭いが、新鮮なうちに内臓を傷つけずに除去し、血抜きをするとよい。また、冬には臭みが薄れる。刺身洗いなどで食べられる。

参考文献

  • 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0042-7
  • 檜山義夫監修 『野外観察図鑑4 魚』改訂版 旺文社 ISBN 4-01-072424-2
  • 永岡書店編集部『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』 ISBN 4-522-21372-7
  • 藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
  • 岡村収・尼岡邦夫監修 山渓カラー名鑑『日本の海水魚』(ニザダイ科解説 : 山下慎吾)ISBN 4-635-09027-2
  • 蒲原稔治著・岡村収補『魚』保育社 エコロン自然シリーズ 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4-586-32109-1
  • Prionurus scalprum - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(09/2008).