トゥンバガ

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キンバヤ文明のトゥンバガ製胸当て(300-1600年)

トゥンバガ(Tumbaga)は、合金である。先コロンブス期メソアメリカ及び南アメリカで広く使われており、スペイン人コンキスタドールにより命名された。

この言葉はプラークリットに由来し、銅または真鍮を意味するマレー語のタンバガ tembaga を借用したものと考えられている。

組成と性質[編集]

トゥンバガは、金や銅の単体と比べて、著しく低い融点を持つ。銅よりも固いが、成型後も展性を維持する。

クエン酸等の単純な酸で処理することで、表面の銅を溶解することができ、より硬く耐久性のある銅-金合金のシートの上にほぼ純粋な金の輝く層が残る。この過程は、"depletion gilding"と呼ばれている。

利用と機能[編集]

トゥンバガは、コロンブス以前の中央アメリカの分科で、宗教用具の製造に広く用いられた。多くの金の合金と同様に汎用性があり、鋳造、描画、延展、メッキ、はんだ付け、溶接、硬化、焼きなまし、研磨、刻印、エンボス化、象嵌等が可能である。

銅に対する金の割合は様々で、97%が金の製品から97%が銅の製品まで見つかっている。また金と銅以外の金属を含むものも見つかっており、トゥンバガ全体の質量の18%に達する。

トゥンバガ製品は、しばしばロストワックスののち、金以外を表面から取り除く「色揚げ」を組み合わせて作られる。様々な比率の銅、と金(典型的には80:15:5)の合金が鋳造された。焼成すると表面の銅は酸化銅に変わり、これを機械的に取り除いた。その後、塩化ナトリウム硫酸鉄(III)等の酸性溶液中に置く。これにより表面から銀を除き、金のみを残す。顕微鏡で見ると、銅と銀があったところに空洞が見られる。

関連項目[編集]

  • 赤銅 - トゥンバガと同じく金と銅の合金であるが、金の割合に3-4(あるいは5)パーセントという制限があるほか、煮色仕上げ工程で酸化皮膜を付けて発色させる点が異なる。