デジタルアーカイブ
デジタルアーカイブ(英語:digital archive)とは、博物館・美術館・公文書館や図書館の収蔵品を始め有形・無形の文化資源(文化資材・文化的財)等をデジタル化して保存等を行うこと。デジタル化することによって、文化資源等の修復・公開や、ネットワーク等を通じた利用も容易となる[cite 1]。
資料を精緻にデジタル化することにより、オリジナル資料へのアクセスの必要性を減らすことが出来るため、将来的にも資料の傷みを最小限にすることが可能になる。
デジタルアーカイブの意義
- 映像遺産の保全
- 過去の情景、風俗を記録した映像はその国や地域にとって貴重な文化遺産であるという発想から、それら映像遺産を散逸と消滅の危機から守り保存する。
- 文化遺産の記録
- 劣化や損傷が進む歴史的文化財、また伝統芸能や伝統技術などの無形文化財をデジタル映像で記録し、後世に継承する。
- 地域映像ライブラリー
- 地域の今日の姿を体系的に映像で記録し、郷土学習への活用と次世代への継承を図るための映像ライブラリーの構築を目指す。
- 地域産業アーカイブ
- 地域の産業活動の情報化を図るため、地域の企業が共同利用できるよう商品やデザインなどのデジタル映像データベースを作る。
デジタルアーカイブにより期待される効果
- 資料の破損・劣化防止
- デジタル化することにより、破損を恐れることなく貴重資料を提供出来る。原資料を保護するために制限がある複写についても、コンピュータを用いてのプリントアウトにより提供が可能となる。
- 新しい表現の実現
- いくつかの資料の映像を部分的に切り出し、再合成することや、様々な解説・音声などを付け加えることにより、元の資料をより膨らませた形での情報提供が出来るようになる。
- 時間的、地理的な制約を超えた資料提供
- コンピュータを用い、どこからでも貴重資料へアクセスできるようになる。また、同時に多くの利用者に資料を提供でき、各小中学校や自治体による生涯学習への活用が行える。
- 様々な角度からの資料検索
- データベース化により、様々な角度から資料の検索が行える。それにより、資料を新たな切り口から見ることが可能となる。
特徴
デジタルアーカイブの特徴として、民主主義や情報公開のベースとなるため、国が取り組む場合が多く見られる。 欧米では自国に不利な場合でも、その事象に関連する物を保存したり、データの再検証などを行い、後世に情報を伝えるというスタンスが取られている。
日本における歴史
1990年代中頃、東京大学名誉教授・月尾嘉男が「デジタルアーカイブ」という言葉を国内で初めて提示した[cite 2][cite 3]。
2003年7月に決定された「e-Japan戦略II」では、コンテンツ産業などの国際競争力の向上や、海外における日本文化への理解の向上を図る手段の一つとして、放送・出版などのコンテンツや、美術館・博物館・図書館などの所蔵品、Web情報、特色のある文化などのデジタルアーカイブ化、および国内外への情報発信の推進を掲げている。
同年8月に決定された「e-Japan重点計画-2003」や、2004年2月に決定された「e-Japan戦略II加速化パッケージ」でも、教育用コンテンツの充実・普及や、国などの有するコンテンツの保存と利用機会の拡大を図るために、引き続き、各種コンテンツのデジタルアーカイブ化を推進していくとしている。
脚注
出典
- ^ “デジタルアーカイブとは?”. 上田市デジタルアーカイブ. 2012年6月18日閲覧。
- ^ 月尾嘉男. "デジタル・アーカイブの功罪". http://www.tsukio.com/denki2.html
- ^ “デジタルアーカイブという言葉を生んだ「月尾嘉男」”. DNP. 2013年6月18日閲覧。