テクニカラー

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テクニカラー(Technicolor)とは世界で初めて三色法によるカラー映画の実用化に成功した企業。また、このことから三色法のことをテクニカラーと通称することもある。

のちにコダックが開発した発色フィルムによるカラー方式が主流になると、テクニカラーは褪色しやすいイーストマン・カラーに変わってネガからプリントを起こす方法を発案してこちらに業務を移し、現在でも主要なカラー技術として存続中である。なお、現在の映画でテクニカラーと表記されている映画はこの方式で処理された映画のことであり、テクニカラー製のカラーフィルムで撮影されたとする者もいるが、これは全くの誤りである。今も昔もテクニカラーは撮影用のカラーフィルムは製造していない。


フィルムに金属ベースの染料を用いて印刷する「ダイ・トランスファー・プリント」というプロセスが特徴で「純正テクニカラー」というとコントラストの強い画質を連想しがちであるが、コダックのイーストマン・カラーと比較すると色彩とコントラストを幅広く調節出来る上、褪色が無いという強みを持つ。そのためDVD時代においてもなお、名画の色彩を蘇らせる一端を担っている。

日本では「総天然色」と訳されて宣伝された。

ただし現在では商標名(日本における商標登録番号は第410487号)だけが残っているだけである。

三色法について

三色法は、プリズムを内蔵した特殊なレンズを使用して、被写体を三原色に分解してそれぞれ別々のモノクロフィルムに記録するという方式である。この3本のフィルムの映像をひとつに再合成して映写することで、間接的ながらスクリーン上にカラーの映像を得る。三色法が採用された初期の作品では『風と共に去りぬ』が有名である。

しかし、三色法は通常の3倍のフィルムが必要であり、そのために、高価で大がかりな撮影機材も必要となる上、技術的にも特殊で手間のかかるなどの欠点があった。このため、のちにコダックがカラー情報を、1本のフィルムに撮影可能な発色フィルム(いわゆるカラーフィルム)を利用する方式を開発すると、これに取って代わられてしまった。

ところが、2000年以降、デジタルリマスターが普及してくると評価が一変した。というのも、特に実用初期の発色フィルムにおいては、技術の未成熟等の事情により、約半世紀の時間の経過によって、整備された環境で保存されているマスターフィルムでさえ著しい褪色が発生している。そのため、デジタルリマスターしても、元の発色が再現できるとは限らなかった。一方、テクニカラーは原理的に「3本のモノクロフィルム」であるため、それほど大きな褪色は起こらず、デジタルリマスターも容易に行えた。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』特別編におけるデジタルリマスターでは、ジョージ・ルーカスが個人的に保有していたテクニカラー版を参照して色調整が行われている。

また、画面上のノイズの補正にしても、発色フィルムの場合、「元の映像の一部か、ノイズか」の区別が付きにくいことが多いが、テクニカラーであれば、3本のフィルムを相互比較すれば、ノイズかどうかの判別は、比較的容易である。

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