サンプレックス

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サンプレックス製の縦型パンタグラフ式変速機

サンプレックス (: Simplex) は、かつて存在したフランスの自転車変速機メーカー。

スライドシャフトと弦巻状になった板ばねの竹の子ばね英語版を用いて、ワイヤー1本だけで変速できる初期変速機システムを完成させた。また1949年ファウスト・コッピツール・ド・フランスジロ・デ・イタリアのダブル総合優勝を達成する[1]など数多くのレースで実績を示したが、後発のパンタグラフ式変速機が主流になり劣勢に陥った。ポリアセタール樹脂であるデルリン(Delrin, デュポンの商標)を使った後期の縦型パンタグラフ式変速機プレステージ (Prestige) は有名ではあるが性能面では劣っていた。

主要な製品にはJUY543、レコード (Record)、ツールドフランス (Tour de France)、プレステージ、クリテリウム (Criterium)、SLJなどがある。製品には変速機だけでなく、チェーンリングやシートポスト、クイックシャフト、フリーホイールなどもある。

1980年代に入って変速機の主流が縦型から横型に変わる頃、マヴィックへのOEM提供が見られる程度で市場から姿を消し、1985年に倒産した。

初期のJUY543やレコード60などの変速機は非常に優秀な製品であり、特にレコード60は現在最も高値で取引されるビンテージ品の筆頭で、ネットオークションで1個80万円以上で取引された記録がある。後期のSLJシリーズは日本国内のネットオークションでも高値で取引されることが多く、クイックシャフトやバッジ付きシートポストは、特に高額な取引が記録されている。

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関連項目[編集]

脚注[編集]