クロヅル (植物)

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クロヅル
福島県会津地方 2008年8月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ニシキギ目 Celastrales
: ニシキギ科 Celastraceae
: クロヅル属 Tripterygium
: クロヅル T. regelii
学名
Tripterygium regelii Sprague et Takeda
和名
クロヅル(黒蔓)

クロヅル(黒蔓、学名:Tripterygium regelii)とはニシキギ科クロヅル属落葉つる性木本。雌雄同株。別名、ベニヅルサイゴククロヅル

特徴

幹の直径は15mmになり、地表の他の植物を這い、ときに高木に巻きつき、這い上がることもある。若い今年枝は黄褐色または赤褐色、前年枝は濃紫褐色で、より古いはしだいに灰色になる。

は葉柄をもって茎に互生し、年枝ごとに4-10枚はえる。葉の形は卵形から楕円形で、葉先は急鋭頭、基部は浅心形からくさび形、縁は鈍鋸歯になる。葉身は長さ5-15cm、幅4-10cmで、両面とも無毛。

花期は7-8月。枝先に円錐花序をつける。は径6mmで緑白色。果実は幅、長さとも12-18mmの翼果で淡緑色~淡緑紅色を帯びる。

分布と生育環境

日本では、本州の東北地方から兵庫県の日本海側および奈良県、四国ならびに九州に、東アジアでは、朝鮮および中国東北部に分布する。温帯の山地稜線、林縁、林内に自生する。

近縁種、利用

中国などには近縁種タイワンクロヅル Tripterygium wilfordii が分布する。 タイワンクロヅルの根を加工した生薬は雷公藤(らいこうとう; レイコントン(léigōngténg))の名で知られ、関節リウマチなど炎症性疾患の妙薬とされる[1][2][3][4] また英語版によれば避妊薬として使える可能性があるとも。

クロヅルにも薬効があり、葉や蔓を乾燥して生薬に用いるともいう。

参考文献

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本 Ⅱ』(1989)平凡社

ギャラリー

脚注

  1. ^ 関連記事: 漢方薬の雷公藤、活動性関節リウマチの症状改善疫学批判)。 ※“漢方薬”とあるが、漢方理論によって調合した方剤ではなく、単体の生薬である。
  2. ^ 英語版によれば関節リウマチ、慢性肝炎、慢性腎炎、硬直性脊柱炎、各種皮膚疾患への薬効を検証中であるという。
  3. ^ 関連記事: 「中国のハーブが処方薬以上にリウマチの痛みを抑える」[1]
  4. ^ 関連記事:以上の論拠に関わる2014年3月発表の米医学専門誌の論文[2]