クリスマス・ツリー (リスト)

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クリスマス・ツリー』(: Weihnachtsbaum)は、フランツ・リスト1874年から1876年にかけて作曲したピアノ曲

1980年に出版された。サール番号S.186

概要[編集]

この曲はリスト晩年のローマ時代に、孫娘ダニエラのために作曲したものである。1980年に、12曲にまとめた版がベーレンライター出版社から出版された。

この曲は古い民謡や教会の聖歌などを原型としたもので、日本でも1988年に日本リスト協会によって初演されている。

楽曲構成[編集]

作品の多くはクリスマス・キャロルに基づいている。

個々の部分は次のとおり。

  • 第1曲 古いクリスマスの歌 Psallite ; この楽曲は詩篇歌の歌詞がついているが、ピアノのみでも弾くことが可能な曲である。
  • 第2曲 おお、聖なる夜! O heilige Night! ; この楽曲も第1曲と同様に、クリスマスの歌詞が付いている。
  • 第3曲 かいば桶をかこむ羊飼いたち Die Hirten an der Krippe  ;  この楽曲はハルモニウムで弾くことも可能である。6/8拍子の曲。この楽曲の動機は、アッシジの聖フランチェスコの太陽賛歌と共通している。
  • 第4曲 信者たちよ、キリストへ Adeste fideles ; この楽曲は東方三博士の行進になっていて、今日でも教会で賛美歌として歌われている。
  • 第5曲 スケルツォーソ Scherzoso ; 人々がクリスマス・ツリーのろうそくに火をともす。
  • 第6曲 鐘 Carillon ; 教会の鐘が静かに鳴る。
  • 第7曲 仮眠のうた Schlummerlied  
  • 第8曲 古い田舎のクリスマスの歌 Altes provencalisches Weihnachtslied  
  • 第9曲 晩鐘 Abendglocken ; リストは青年期から晩年まで鐘をピアノで表現している。
  • 第10曲 むかし Ehemals  
  • 第11曲 ハンガリー Ungarisch-Natale Ungherese
  • 第12曲 ポーランド Polnisch-Natale Polacco

第11曲と第12曲は技巧的で、それぞれリストとカロリーヌの故郷を象徴しているといえよう。

参考文献[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]