カコボラ

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カコボラ
Cymatium parthenopeum
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 新生腹足類 Caenogastropoda
: タマキビ形目 Littorinimorpha
上科 : ヤツシロガイ上科 Tonnoidea
: フジツガイ科 Cymatiidae
: フジツガイ属 Cymatium
亜属 : カコボラ亜属 Monoplex
: カコボラ
M. parthenopeus[1]
学名
Monoplex parthenopeus (Salis Marschlins, 1793)
和名
カコボラ (加古法螺)
英名
Giant triton[2], hairy triton
中名 黑歯法螺 (hēi chǐ fǎ luó)

カコボラ(加古法螺、Cymatium (Monoplex) parthenopeum)は、フジツガイ科 Cymatiidae に属する巻貝である。

形態

貝殻は約12cm以下。螺層には2本、体層には多数の螺肋がめぐらされ、全体的に毛が生えた殻皮におおわれたものが多い。殻口外唇とのその約180度反対側に縦張肋が張り出すことが多い。殻口は黒色または橙色で、白い襞が両側に並ぶ。水管溝は短い。蓋は角質で核は下端にある[3]。足(吸盤)にはヒョウのような斑点模様がある[4]

生態

潮間帯下の岩礁に棲み、肉食性[3]シノマキガイ Cymatium (Monoplex) pilearisと近縁で、本属のベリジャー幼生は長生きするので大西洋にまで分布する[2]。幼生が卵嚢から孵化するのには1カ月かかる[5]

分布

房総半島から九州にかけて、潮間帯下部から水深50mの岩礫底。

化石

下総層群の更新世(約数十~百万年前)の地層から化石が見つかっている[6]

人との関係

江戸時代後期の武蔵石壽による『目八譜』では、殻表に毛が無いものを加古法螺(かこぼら)、毛が生えたものを衣被(きぬかつぎ)として図示し、両者は同じ種と記されている[7]。足などの身は甘みがあって美味いが、唾液腺や内臓にはフグ毒テトロドトキシンがあるので、リスクをおかして食べる場合は内臓を十分に切除する必要がある[8]

出典

  1. ^ Monoplex parthenopeus”. WoRMS. 2021年4月1日閲覧。
  2. ^ a b “Seashells of North Carolina” Hugh J. Porter & Lynn Houser p.66 giant triton UNC-SG-97-03. (2010/12/1) 
  3. ^ a b 世界文化生物大図鑑『貝類』 奥谷喬司ら p.112 ISBN 9784418049042. 世界文化社. (2004/6/15) 
  4. ^ カコボラの交尾”. futodiver.cocolog-nifty.com. 2022年2月23日閲覧。
  5. ^ Ashlin H. Turner, Christina I. Schroeder et al. (2020). “Early development of Monoplex pilearis and Monoplex parthenopeus (Gastropoda: Cymatiidae)”. Organisms Diversity & Evolution 20: 51. 
  6. ^ 下総台地と周辺の貝化石”. 千葉県立中央博物館. 2021年4月2日閲覧。
  7. ^ 武蔵石壽 (1843). “(十一)加古法螺”. 目八譜 (武蔵石壽) . https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1287301/19. 
  8. ^ 市場魚介類図鑑 カコボラ”. ぼうずコンニャク. 2021年4月2日閲覧。

外部リンク