あきすとぜねこ

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アキストゼネコから転送)

あきすとぜねこは、昭和時代の日本で流行した占い、または言葉遊びの一種[1]。特に小学生の女子の間で流行していた[2]。カタカナで「アキストゼネコ」と表記されることもある[1]

占う対象の男女2人の名前を数字に変換し、それを「あ」(愛してる)「き」(嫌い)「す」(好き)「と」(友達)「ぜ」(絶交)「ね」(熱愛中)「こ」(恋人)に当てはめ、互いが互いをどう想っているかを占うもの。ルーツはヘブライ数秘術の一つ「ジェムトリカ」といわれる[3]

1960年代に若者たちの間で流行した後[4]1980年代には当時人気を博した男性アイドルグループ光GENJIがビデオのタイトルに用いるなど、各作品に用いるコンセプトで販促を行なったことでブームが再燃し、日本全国の女子学生たちの間で大流行に至った[4][5][6]

手順[編集]

# 百科 三郎 事典 花美
1
2 2 1 3 1 1 3 5 3 2 4 1 1 1 2
3 3 3 5 3 4
4 14 4
  1. 名前を仮名で表記する。
  2. 数字に変換する。(例えば、五十音表で「あ」の段(あかさたな…)は 1、「い」の段(いきしちに…)は 2、「う」の段(うくすつぬ…)は 3、「え」の段(えけせてね…)は 4、「お」の段(おこそとの…)は 5 になる。「ん」は 1 とする)
  3. 男女の共通する数字を消す。例では、男女両方に「1」「2」があるので、それらをすべて消す。
  4. 残った数字を、男女それぞれで合計する。例では、百科三郎は3 + 3 + 5 + 3 = 14、事典花美は4となる。
  5. それぞれの数字を「あ(1)き(2)す(3)と(4)ぜ(5)ね(6)こ(7)あ(8)き(9)す(10)……」と数える。例では、百科三郎の14は「こ」、事典花美の4は「と」。
  6. 「あ」は「愛してる」、「き」は「嫌い」、「す」は「好き」、「と」は「友達」、「ぜ」は「絶交」、「ね」は「熱愛中(または熱中[2]、熱烈[4])」、「こ」は「恋人」という意味。結果として、「百科三郎は事典花美を恋人と思っているが、事典花美は百科三郎を友達と思っている」となる。
  7. また、3.の時点で数字がすべて消えた場合、4の時点で結果の文字に変換できないが、この場合は「運命の人」を意味しているともいう[6]

上記は一例であり、以下のようなバリエーションもある。

  • 合計値が複数桁になった際は、各桁の数字を合計して1桁になるまで計算する[3][6]。例では、百科三郎は 1 + 4 = 5 で、「絶交」。
  • 2人の数字の合計値が2人の相性を表す[3][5]。例では 14 + 4 = 18 で、相性は「友達」。
  • 数字を消す際、「2」は百科三郎に1個しかないので、事典花美からは「2」を1個だけ消し、もう1個の「2」は残す[3]。結果、事典花美は 4 + 2 = 6 で「熱烈」。
  • 2人の名前を数字化した後、2人を縦に並べ、縦か斜めに同じ数字があれば消す[3]
  • 地域によっては「あきすとぜねけ」ともいい、7番目の「け」は「結婚」の意味という[5]
  • アキストゼニコ!の楽曲「アキストゼネコ」の歌詞では2番目の「き」は「キス」の意味とされている[7]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 伊藤淳子他『あきすとぜねこ 日本全国占い少女発』JICC出版局、1992年9月。ISBN 978-4-7966-0465-9 
  • PHP研究所編『時代を読む事典 最新トレンド・ワード555』PHP研究所、1989年1月。ISBN 978-4-569-22423-7 
  • 目黒卓朗他 著、20世紀死語辞典編集委員会 編『20世紀死語辞典』太陽出版、2000年12月。ISBN 978-4-88469-214-8 
  • 米川明彦 編『日本俗語大辞典』東京堂出版、2003年11月。ISBN 978-4-490-10638-1