びっくり病

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びっくり病英語:Hyperekplexia)は、過度驚愕、過剰驚愕症、ラター症候群とも言われて、極稀な病気である。アメリカ合衆国の東海岸北部のメーン州にて確認されている模様。

症状・特徴

突然、大声で呼ばれたり、不意に背中を突かれるなどの刺激により、過剰な驚愕反射が生じて、身体を倒したり、うずくまるなどの反応を呈する。神経的には深部腱の反射や頭後屈の反射の高ぶりを呈する。統合失調症におけるプレパレス抑制と似た兆候が現れることが知られている。原因となる常染色体の異常が同定されていて、優先遺伝する。ヒトの成長ともに症状は軽快するが、寒冷や疲労・精神的緊張により悪化する。また飲酒で軽快する傾向がある。診断は、安静時における脳波を測定すると、特徴的な亢進が現れることで知られる。(long loop reflexing) なお本疾病はナルコレプシーにおける情動脱力発作(cataplexy)と混同されることがあるため医師および薬剤師は注意を要する。

原因

遺伝的には第5染色体の短腕にある、γ-アミノ酪酸(GABA)と同様な抑制性の神経伝達物質をチャネリングするグリシン受容体に突然変異をきたしていることが明らかになっている。また、膜タンパク質であるゲフィリンおよびグアニンヌクレオチド交換因子に異常が見つかっている。この遺伝的な疾患にクロナゼパム (Clonazepam) などの薬物治療が有効であるが、驚愕反射と統合失調症およびてんかんとの識別が必要である。