きむらけん
きむらけん・木村健(きむらけん)は、地域研究者・郷土史家・作家。北沢川文化遺産保存の会の主幹として、世田谷区内、鉄道交点下北沢一帯と世田谷代田・代沢・北沢に埋もれている文化を発掘し記録する研究者である。
来歴
1945年10月19日、満州(現中国東北部)撫順生まれ。東京大学教育学部附属中等教育学校の国語科の教諭の傍ら童話や物語を書いていた。在職中に「卒業研究」の企画に携わり、このプログラムデザインの基礎作りに関わった。このことが後の文化調査に大きな影響を与えた。
活動
- 地域活動
- 2004年12月、北沢川文化遺産保存の会を立ち上げる。行政や企業の助成を得て冊子を発行。『北沢川文学の小路物語』(デザインは東盛太郎)[1][2]、『下北沢X惜別物語』小田急線地下化前の駅と踏切の記録[3]、『安吾文学碑建立記念記録集』~あんこ先生が帰ってきた [4]、『焼け遺ったまち 下北沢戦後のアルバム』(きむらたかしとの共著)[5]、オリバー・L・オースティン博士が下北沢の戦後をカラーで撮ったもの、また、飯田勝が描いたものを中心とし収めたもの。初版、再版2万部。『代田のダイダラボッチ 巨人伝説読本』(B5版56頁)[6] 2021年世田谷代田駅前にダイダラボッチの足跡が広場に描かれたのを記念してのもの。
- 地図の作成 「下北沢文士町文化地図」
- 地域文化を地図に遺す、発案はデザイナーの東盛太郎。初版2006年以来改版を重ね、現在は改定8版[7]が発行され配布されている。その総発行部数は7万5千部に達した。この「下北沢文士町」の命名は、当地のフィールドワークを重ねた上できむらけんが名づけた。文士村は人が集めて形成される、当地では鉄道クロスが文化人を集めたことからこう命名した。なお、8版地図は世田谷区のホームページに「下北沢文士町:文学修行の場-世田谷区」とされて、掲出されている。
- 文学碑の建立
- 会発足当初からきむらは文学碑建立を呼びかけていた。その第1号が『坂口安吾文学碑』(2007.12)である。安吾ゆかりの代沢小の一角に大田区の安吾旧居の家の門柱を新潟日報社から譲り受けて建立した[8][9]。第2号は『代田の丘の61号鉄塔由来碑』(2012.10)だ、萩原朔太郎の生存痕跡を遺すものとして「世田谷地域風景資産」に選定された。この経緯を記したものが『代田の丘の鉄塔文学論』である[10]。なお、この碑には朔太郎の詩『定本青猫』の次の一節が刻まれている。
都会の空に映る電線の青白いスパークを。
大きな青猫のイメーヂに見てゐる。
第3号は『横光利一文学顕彰碑』(2013.11)である。これには、作品『睡蓮』に出てくる石畳を横光家の協力を得てもらい受けて飾った。この経緯を記したものが『北沢の丘の石畳文学論』である[11]。
第4号は、『三好達治文学顕彰碑』(2014.11)。この建立経緯を記したものが『代田小路寓居文学論』である[12]。これら四基は北沢川緑道に面して建てられ区も認知し『北沢川文学の小路』と称している。これらの経緯はブログ「Web東京荏原都市物語資料館」に活動記録が掲載されている。
著書
- 『トロッコ少年ペドロ』(汐文社)ISBN 978-4811371214
- 『出発進行! ぼくらのレィルウェイ』(汐文社)ISBN 978-4811371320
- 『広島にチンチン電車の鐘が鳴る』(汐文社)ISBN 978-4811372839
- 『日本鉄道詩紀行』(集英社新書)ISBN 978-4087201383
- 『峠の鉄道物語』(JTB)ISBN 978-4533045288
- 『鉛筆部隊と特攻隊―もうひとつの戦史』(彩流社)ISBN 978-4779117992
- 『特攻隊と(松本)褶曲山脈-鉛筆部隊の軌跡』(彩流社) ISBN 978-4779119118
- 『忘れられた特攻隊』-信州松本から新田原出撃を追って-(彩流社)ISBN 978-4779120350
- 『ミドリ楽団物語』-戦火を潜り抜けた児童音楽隊-(えにし書房)ISBN 978-4908073298
- 『と号第三十一飛行隊「武揚隊」の軌跡: さまよえる特攻隊』(えにし書房)ISBN 978-4908073458
- 『鉛筆部隊と特攻隊 近代戦争史哀話』(えにし書房)ISBN 978-4908073700
賞歴
- 1996年『トロ引き犬のクロとシロ』で「サーブ文学賞」大賞受賞。
- 1997年『走れ、走れ、ツトムのブルートレイン』で「いろは文学賞」大賞・文部大臣奨励賞受賞。
- 2011年『鉛筆部隊の子どもたち~書いて、歌って、戦った~』で「子どものための感動ノンフィクション大賞」(日本児童文学者協会)優良賞受賞。
脚注
- ^ 朝日新聞 東京版「児童文学作家きむらさん ブログで報告 冊子に 自転車でたどる下北沢文士物語」2006年6月24日朝刊。
- ^ 毎日新聞 東京版「北沢川文学の小路が好評」 茂吉、朔太郎……エピソード集め冊子 2006年7月5日朝刊。
- ^ 『下北沢X惜別物語』(きむらけん) 世田谷区立図書館 書誌番号004389080
- ^ 世田谷区立図書館 書誌番号910.268 GA910268
- ^ 「東京新聞」T発、「戦後GHQ職員が活写 写真で見る下北沢今昔」2018年04月25日朝刊
- ^ 国立国会図書館書誌ID031368758
- ^ 国立国会図書館書誌ID 030088392
- ^ 「読売新聞」東京都内版、「かつて教べん 世田谷の小学校 安吾先生 81年ぶりの足跡 校内に文学碑・自宅の門柱」2007年12月4日朝刊
- ^ 「安吾文学碑建立記念記録集」~あんこ先生が帰ってきた。世田谷区立図書館 書誌番号910.268 GA910268
- ^ 北沢川文化遺産保存の会紀要創刊号「代田の丘の鉄塔文学論」(きむらけん)国立国会図書館 書誌ID 024012368
- ^ 北沢川文化遺産保存の会紀要第2号「北沢の丘の石畳文学論」(きむらけん他)国立国会図書館 書誌ID 025022148
- ^ 北沢川文化遺産保存の会紀要第3号「代田小路寓居文学論」(きむらけん)国立国会図書館 書誌ID 025940974
外部リンク
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