かに座55番星f
かに座55番星f(英: 55 Cancri f)は、地球から約41光年の距離に存在する太陽に似た恒星かに座55番星Aを周回する太陽系外惑星(巨大ガス惑星)である。かに座55番星fはこの恒星系の第4惑星(恒星からの距離順で)であり、その恒星系で5番目に発見されたことを示す"f"の名称が与えられた初めての惑星でもある[1]。
発見
かに座55番星cとdの間にまだ見つかっていない惑星が存在するのではないかという最初の指摘は、2005年4月のアメリカ天文学会にて行われた[2]。しかし、そこから実際に惑星が発見され、査読誌にて公開されるまでには2年半を要した[3]。
かに座55番星fは、その軌道がハビタブルゾーン内に含まれていることが判明した初めての太陽系外惑星である[4][note 1]。さらにこの惑星の発見により、かに座55番星は太陽以外で初めて5つ以上の惑星を持っていることが確認された恒星系となった。
軌道と質量
かに座55番星fは恒星から0.781AUの円形の軌道を260日かけて公転している[5]。惑星の発見に用いられたのが視線速度法であることから下限質量のみが判明しており、その質量は木星の0.144倍、土星のおよそ半分である[5]。
ハッブル宇宙望遠鏡による位置天文学的な観測の結果、外側の惑星かに座55番星dが53°傾斜していることが示唆された[6]。もしこれが正しく、かつ惑星系全体に適用できるのであれば、かに座55番星fの真の質量は下限質量より25%大きい木星の0.18倍となる[3]。
性質
惑星の観測データが視線速度法による間接的なものに限られているため、その半径や組成、温度といった情報は不明である。しかし、土星の半分程度という質量から[5]、かに座55番星fは固体の表面を持たない巨大ガス惑星だろうと考えられている。その軌道はハビタブルゾーンに位置しており、もし衛星が存在すれば、その表面には液体の水が存在する可能性がある[4]。
その組成や外観が土星と海王星のどちらに近いのかは判っていないが[1]、惑星の温度からは水の雲に覆われたSudarsky Class IIの惑星だろうと推測される。
脚注
- ^ 2001年に発見されたHD 28185 bもハビタブルゾーン内に位置する軌道を持つが、それが判明したのは2006年になってからである。
参考文献
- ^ a b Shige Abe (2007年11月12日). “Researchers Identify First Five-Planet Extrasolar System”. NASA Astrobiology. 2008年9月17日閲覧。
- ^ J. Wisdom (11 April 2005). “A Neptune-sized Planet in the rho1 Cancri System”. DDA 36th Meeting, 10–14 April 2005—Session 5 Posters (The American Astronomical Society). オリジナルの16 December 2006時点におけるアーカイブ。 2008年9月17日閲覧。.
- ^ a b 引用エラー: 無効な
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タグです。「fischer08
」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ^ a b Ian Sample, science correspondent (2007年11月7日). “Could this be Earth's near twin? Introducing planet 55 Cancri f”. London: ガーディアン 2008年10月17日閲覧。
- ^ a b c Jean Schneider (2011年). “Notes for Planet 55 Cnc f”. 太陽系外惑星エンサイクロペディア. 2011年10月8日閲覧。
- ^ Han et al. (2001). “Preliminary Astrometric Masses for Proposed Extrasolar Planetary Companions”. The アストロフィジカルジャーナル Letters 548 (1): L57–L60. Bibcode: 2001ApJ...548L..57H. doi:10.1086/318927.