SKY配列

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

SKY配列(すかいはいれつ)とは、コンピュータへの日本語入力を行うための、ローマ字入力用キー配列のひとつ。

白鳥嘉勇、小橋史彦らによって1987年に発表された(白鳥 & 小橋 1987)。

左手のホームポジション周辺には S K Y のキーが並んでいる。開発者によると、SKYとは「Simplified Keyboard for You」の略である。

特徴[編集]

  • 30個のキーのみを使って、かな文字列と句読点を入力できる。
  • シフトや同時打鍵を使わないので実装が簡単である。(インプットメソッドのローマ字カスタマイズを使って、SKY配列を実装することができる場合がある。)
  • 省打鍵キーがある。またそのため、左右の手を交互に使う割合が高い。
  • ひとつの指の連続使用や上下動が少なく、しかも左右の手を交互に使って入力できる割合が高いため、時間あたりにより多くのキーを打鍵できる。


配列表[編集]

初出時の論文(白鳥 & 小橋 1987)で掲載されたSKYの基本的な配列を以下に示す。

1)
W R M H UU AI OU EI
N T S K Y U A O I E
P D Z G B UN AN ON IN EN

表を見れば分かる通り、左手が子音を、右手が母音等を担当する。これにより、ほぼ左右交互打鍵が可能となる。

なお、「ワープロ徹底操縦法」(木村 1991)では以下のような配列として紹介されている。捨て字用の「X」(すなわち[X][A]のストロークで「ぁ」となる)、ヴァ行用の「V」、ファ行用の「F」、長音符、中点(・)が加わっている。

2)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 - X V
W R M H UU AI OU EI F }
N T S K Y U A O I E {
P D Z G B UN AN ON IN EN

初出時の論文(白鳥 & 小橋 1987)で1の配列が「基本配列」と記されていることを考えると2の配列が本来のものであるという可能性もあるが、論文中では2の配列は掲載されておらず、出所も不明である。

SKY配列での入力例[編集]

例えば、「あいのあるうつくしいぶんしょう」は [AI] [N] [O] [A] [R] [U] [U] [T] [U] [K] [U] [S] [I] [I] [B] [UN] [S] [Y] [OU] と入力する。 通常のローマ字入力では22~23打鍵であるのに対し、SKYでは19打鍵と、幾分少なくなる。

SKYの拡張配列[編集]

SKYは原形のままでも、日本語文のほとんどを快適に入力できる。しかし、「」や長音符、捨て仮名(小書き文字)を入力出来ず、未完成であるといえる。 そこで、その欠点を補うべくさまざまな拡張配列が生み出された。

参考文献[編集]

  • 白鳥, 嘉勇、小橋, 史彦「日本語入力用新キー配列とその操作性評価」『情報処理学会論文誌』第28巻第6号、情報処理学会、1987年、658-667頁。 
  • 木村泉『ワープロ徹底操縦法』岩波書店、1991年3月20日。ISBN 9784004301646