SARSA法

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SARSA法State–Action–Reward–State–Action)はマルコフ決定過程でのポリシーを学習するためのアルゴリズムであり、機械学習のサブカテゴリーである強化学習の分野で使われる。RummeryとNiranjanのテクニカルノート[1]の中で、「Modified Connectionist Q-Learning(MCQ-L, 修正コネクショニストQ学習)」という名前で提案された。リチャード・サットンにより提案された、「SARSA」という名前は、脚注で言及されるに留まった。

このネーミングは、行動価値関数Qの更新アルゴリズムが、現在の状況、現在の行動、行動による報酬、次の状態、その状態で選ぶ行動の5つ組で決まることに由来する。一般化すると、である[2]。なお、は報酬の定義によっては、とも書かれるが、リチャード・サットンの『強化学習(第2版)』の表記法に合わせた[3]

アルゴリズム[編集]

状態 のエージェントが行動 を選び、報酬 を得て、状態が に遷移し、その次の行動が だとする。このとき行動価値関数 を次の式で更新する。 に近づくように学習される。

SARSAでは、エージェントは環境と相互作用し、行われた行動ベースでポリシーを更新する。そのため、オンポリシー型の学習アルゴリズムである。

学習率 は、古い情報を、新しく獲得した情報によってどの程度上書きするかを決定する。0にすれば、エージェントは何も学ばないし、1にすれば、最近の情報だけを近視眼的に考慮するようになる。

割引率 は、将来の報酬の重要度を決定する。0にすれば、エージェントは日和見主義的、近視眼的[4]になる。要するに、現在の報酬だけを考慮するようになる。1に近づければ、長期的視野で高い報酬を求めるようになる。1にしたり、1を超えたりすると、Q値は発散してしまう可能性がある。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Online Q-Learning using Connectionist Systems" by Rummery & Niranjan (1994)
  2. ^ Reinforcement Learning: An Introduction Richard S. Sutton and Andrew G. Barto (chapter 6.4)
  3. ^ Richard S. Sutton; Andrew G. Barto (2018). Reinforcement Learning, second edition: An Introduction. Bradford Books. ISBN 978-0262039246. http://incompleteideas.net/book/the-book-2nd.html 
  4. ^ https://www.lesswrong.com/posts/GqxuDtZvfgL2bEQ5v/arguments-against-myopic-training (Retrieved 2021-09-29)