GL events Stadium Solution

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GL events Stadium Solution(ジー・エル・イベント・スタジアム・ソリューション)とは、フランスのイベント会場の設営を手掛ける「GL events」が開発した、半恒久型簡易スタンドである。

国際的なスポーツ大会やコンサートなどでは、大規模な会場の建設に際して、スタンドの増設が一つの課題となっているが、世界的な潮流としては、鉄筋コンクリートで恒久的に使用することを前提としたスタンドが多いが、安全性には長けるものの、工期や完成には相当の年数と時間がかかる。また大会期間中に設置し、終了後に撤去する仮設型の鉄パイプで組み上げたスタンドであると、コストは抑えられるものの、観客が飛び跳ねるだけで揺れてしまう[注 1]といった安全面の課題もある。

そこで、2016年に行われた「スタジアム&アリーナ2016」という国際的なスタジアム・体育館の施設建設の見本市[注 2]に、GL eventsが出品したものが、この「GL events Stadium Solution」と呼ばれるシステムである。[3]

これはスタジアムの新設、増設に係るコストや工期を大幅に圧縮、短縮できるもので、コンクリートだと最低でも2年程度の工期が必要[注 3]とされるところを、「半永久・半常設」をコンセプトとした安全性に長けた鉄骨製のユニット工法を採用することによって約3か月程度という大幅な工期短縮ができるとされており、必要に応じての改修や撤去に係る工期・工費も短縮・抑制できるなどのメリットもある。また、大会や運営するチーム・施設などの規模などに合わせて、期間を決めてリースレンタル)利用や、半永久的に購入しての常設化の双方にも対応できるようになっており、リース終了後、あるいは老朽化後の改修・改築を行う場合、このユニットを別の会場や施設で再利用できることも大きなメリットとされる[3]

ただ、日本では、日本工業規格(JIS)の審査や法律の改正などの課題をクリアしなければならないため、日本のスタジアム設計の第一人者である梓設計とのタイアップにより、それをいかに解決していくかのノウハウや、構造強度、火災時の非常口の導線などの様々な課題を検証し実用化へ向けた研究を進めているとされている。[3]そのため、2017年に梓設計とGL eventsが合弁して日本法人「GLイベンツ・ジャパン」を設立し、2020年東京オリンピックや、2019 ラグビーワールドカップなど、日本で開催された大規模なスポーツイベントの仮設席設置などに利用されている。[4]

関連項目

外部リンク

脚注

  1. ^ 2013年の日本シリーズに出場し優勝した東北楽天ゴールデンイーグルスクリネックススタジアム宮城(当時)の事例。当時は常設席が23000人しかなかったため、主に3塁側既存スタンドの上部を中心に同様の仮設席を設けていたが、2014年に常設化され、28000人収容が可能となった[1]
  2. ^ 2016年9月に横浜アリーナで開催[2]
  3. ^ ただしあらかじめ工場で躯体を作り、建設予定地で組み立て設置工事を行う「プレキャストコンクリート」や「プレストレストコンクリート」であれば更なる工期短縮もできる場合がある。
  4. ^ 横河システム建築が開発した半常設型仮設アリーナで、当ページのシステムとほぼ内容が酷似している[5]
  5. ^ 1993年のJリーグ加盟時から2005年までゴール裏スタンドが鉄骨製仮設スタンドだった。バックスタンドは2005年に増築され二層化されたが、引き続き鉄骨スタンドは維持されている
  6. ^ 1993年Jリーグ準会員になるにあたり、鉄骨製ユニットでスタンドをJ1基準を充足した。(現在メインスタンド中央部と、ホームゴール裏2階席は鉄筋コンクリート造りに改修)

出典

  1. ^ 「台風」に「観客増」 Kスタの仮設スタンドが崩壊危機!?(日刊ゲンダイ)
  2. ^ スポーツビジネス・スポーツ施設関係者、必見!~「スタジアム&アリーナ2016」が日本初開催。国内外のノウハウ・アイデアが満載~(展示会とMICE)
  3. ^ a b c 日本の観客席に世界標準を 仏社が仕掛ける「半常設」(日経クロステック)
  4. ^ 仏仮設大手「GLイベンツ」が五輪狙い日本上陸(FACTA ONLINE)
  5. ^ 50年もつ仮設アリーナ、建設費と工期半減(日経産業新聞)