肉形石

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『肉形石』
作者不明
製作年不明
種類玉髄彫刻
寸法5.7 cm × 6.6 cm (2.2 in × 2.6 in)
所蔵国立故宮博物院台北市

肉形石(にくがたせき[1])とは、清朝時代に作られたとされる長さ5.3センチメートル、幅6.6センチメートル、高さ5.7センチメートルの彫刻である。現在は台北市にある国立故宮博物院の所蔵。

東坡肉を模したとされる。

概説[編集]

素材は、粘土鉱物などを含んだ不透明な六面体の玉髄で、含有物が層状に積み重なったことで生じる縞模様がある。皮となる面には、豚肉の毛穴や粗い肌触りを表現するとともに、染料がとどまりやすくするため、びっしり小さな穴があけられている。この皮となる面は、醤油が染み込んでテリがでている様子を表現するために赤褐色の染料で染められている。他の面も暗褐色の染料で染められている。波を模した装飾をもつ台座に載せられているが、この台座について由来等は不明とされている。本彫刻は、同じく台北国立故宮博物院所蔵の彫刻である「翠玉白菜」、ならびに北京故宮博物院所蔵の「清明上河図」とともに故宮博物院の三大至宝と言われ、故宮博物院の外へ出ることはなかったが、2014年10月より九州国立博物館で開催された「台北国立博物院展」にて展示された。

エピソード[編集]

この肉形石は、もとは紫禁城の「養心殿」に陳列されていた。「養心殿」は、雍正帝以降の皇帝の執務室であるとともに寝室である。1924年(民国13年)に清朝最後の皇帝の溥儀が紫禁城を追われた翌1925年、故宮に遺された文物を点検する清室善後委員会のメンバーが、この肉形石を見て、あまりに豚肉にそっくりなため、「豚肉の化石」と目録に記したというほどのエピソードが残る。

参考文献[編集]

  1. ^ 清水仁 編『改訂版 国立故宮博物院案内』郁朋社、2006年、292頁。ISBN 978-4873023489 

「特別展 台北国立故宮博物院 神品至宝」編集;東京国立博物館、九州国立博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社、産経新聞社、フジテレビジョン、朝日新聞社、毎日新聞社(2014年)310ページ