第三紀ハンマー

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第三紀ハンマー(だいさんきハンマー、英語: tertiary hammer)は、第三紀の地層(第三系)の地質調査で使用される山鍬である[1]。バチツルの形をしている[2]。ただし岩石ハンマーと異なりはない[2]

第三系は軟岩であるため、岩石ハンマーを使うには柔らかいが、ねじり鎌を使用するには固すぎる[1]。このため、第三系の地質調査の器具として第三紀ハンマーが利用されてきた[1]

第三紀ハンマーの主要例として、魚沼ハンマーと房総ハンマーが挙げられる[1]

魚沼ハンマー[編集]

魚沼ハンマーは、1970年頃に魚沼団体研究グループの構成員が発案し、魚沼団体研究グループほかで地質調査に使用してきた山鍬である[2]。魚沼ハンマーは日本各地で地質調査に利用され、野尻湖の発掘はその一例である[3]

軽いこと、柄とハンマーヘッドが分解可能なことから、持ち運びやすい[4]。また、岩石ハンマーよりも柄が長いため、強い力で岩石を叩いたり、藪こぎをしたりすることができる[5]。その他、山地斜面での移動の補助具としても使用できる[5]

房総ハンマー[編集]

房総ハンマー房総半島の地質調査のために発案された山鍬である[3]。1960年頃から試作が行われ、油田での調査などで使用されたとされる[3]。その後、1970年代前半にピッケルを参考にして製造された[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 辻野ほか 2013, p. 37.
  2. ^ a b c 辻野ほか 2013, p. 38.
  3. ^ a b c d 辻野ほか 2013, p. 39.
  4. ^ 長森 2007, p. 65.
  5. ^ a b 長森 2007, p. 66.

参考文献[編集]