東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ

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中央アジア 、東アジア–オーストラリア、および西太平洋の渡り鳥の飛行経路

「フライウェイ」とは渡り鳥の渡りルート(Migration Route)を、地域レベルで包括的にくくった範囲のことで、世界で9範囲に分けられる。アジア・太平洋地域には、「中央アジアフライウェイ」、「西太平洋フライウェイ」そして「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ(East Asian–Australasian Flyway:EAAF)」という3つのフライウェイがある。日本に飛来する多くの渡り鳥はEAAFを利用しており、その地域はオセアニア、東南アジア、日中韓等が含まれる北東アジア、そしてロシア東部からアラスカまで、22カ国をまたがっている。

EAAFには、250もの渡り性水鳥の個体群が生息し、その数は5000万羽以上とも言われている。

この地域の渡り性水鳥とその生息地の保全を推進し、生息地間のネットワークを構築するため、日・豪両政府主導のもと、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)が2006年に発足した。

2020年4月現在、日本の環境省を含む18カ国の政府組織や、日本野鳥の会、バードライフ・インターナショナル、ウェットランド・インターナショナルなどの国際NGOを含め、37組織が参加している。

目的[編集]

東アジア・オーストラリア地域(EAAF)の渡り性水鳥及びその生息地を保全するため、関係する多様な主体の国際的連携・協力のための枠組みを提供することを目的とする。渡り性水鳥の重要生息地の国際的なネットワークを構築するとともに、普及啓発、調査研究及び保全活動を促進し、もって当該地域における生物多様性保全及び地域住民の利益に資するもの。

沿革[編集]

1996年に日豪政府及び国際湿地保全連合が主導して「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」(第Ⅰ期:1996-2000、第Ⅱ期:2001-2006)(以下、水鳥保全戦略という)を策定、本戦略に基づきシギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の渡り鳥の生息地の国際的なネットワークが構築され、ネットワーク参加地間の情報交換、人的交流、調査研究等の活動が進展してきた。

2002年に南アフリカ・ヨハネスブルグにおいて開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD、通称ヨハネスブルグ・サミット)に際して、日豪政府、国際湿地保全連合により、国際連携協力事業(WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブ)として、渡り性水鳥の生息地の保全に関するプロジェクトを登録。

※各国政府、国際機関、NGOが表明する取組みをとりまとめた約束文書(タイプ2文書)に基づくプロジェクト

2006年11月、水鳥保全戦略の終了にあたり、当該地域の渡り性水鳥及びその生息地の保全に係る国際協力のさらなる強化を図るため、日豪政府の密接な連携により、WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブの側面を充実させる形で、新たな枠組みを構築するに至った。

日本の渡り性水鳥重要生息地ネットワーク参加地[編集]

2020年5月現在、33か所の湿地が当ネットワークに参加している。

※ 自治体のフライウェイに関する記述があるホームページにリンクしている。

活動事例[編集]

ガンカモ類国内生息地ネットワークの情報発信サイト。関連するイベントの報告などが報告されているほか、ヒシクイ亜種の識別等を掲載。
全国で渡り鳥のシギ・チドリ類を、できるだけいっせいので調査するグループ。

普及啓発[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]