マンノース-6-リン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マンノース-6-リン酸
識別情報
CAS登録番号 3672-15-9 チェック
PubChem 65127
ChemSpider 58636 Unspecified anomers チェック
394282 alpha anomer チェック
388338 beta anomer チェック
MeSH mannose-6-phosphate
ChEBI
特性
化学式 C6H13O9P
モル質量 260.136 g/mol
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

マンノース-6-リン酸(マンノース-6-リンさん、mannose-6-phosphate、略称: M6P)は、免疫系においてレクチンによって結合される分子である。M6Pはマンノース-6-リン酸イソメラーゼ英語版によってフルクトース-6-リン酸へと変換される。

M6Pは、リソソームへと輸送される予定の酸性加水分解酵素英語版前駆体タンパク質英語版のための重要な標的シグナルである。M6Pタグはシス-ゴルジ体中のそういったタンパク質へ付加される。具体的には、ウリジン二リン酸(UDP)とN-アセチルグルコサミンが関わる反応において、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸転移酵素英語版アスパラギン残基とM6PのN-結合型グリコシル化を触媒する。M6P標的シグナルで一旦適切に印が付けられると、これらのタンパク質はトランス-ゴルジ網へと移動される。ここで、pH 6.5-6.7においてM6P部分マンノース-6-リン酸受容体によって認識・結合される[1]

M6Pでタグ付けされたリソソーム酵素は小胞輸送によって後期エンドソームへと送り出される[1]。いくつかのリソソーム蓄積症に対する酵素補充療法(ERT)は、人工酵素をそれらが特定の基質を代謝することができるリソソームへと効率的に向かわせるためにこの経路に依存している[2]。後期エンドソーム内のpHは6.0にも達し、これによって受容体からのM6Pの解離が引き起こされる[1]。一旦遊離すると、酵素はリソソームにおけるそれらの最終目的地へと運ばれる[1]。マンノース-6-リン酸受容体は後期エンドソームから離れるベシクルへと詰め込まれ、トランス-ゴルジ網へ戻る[1]。このようにして、マンノース-6-リン酸受容体は再利用することができる。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e Alberts, Bruce (2002). Molecular biology of the cell (4th ed.). New York: Garland Science. ISBN 0-8153-3218-1 
  2. ^ Mannose-6-phosphate pathway: A review on its role in lysosomal function and dysfunction”. ScienceDirect. Elsevier (2011年12月15日). 2015年1月29日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]