マザー・シプトン

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マザー・シプトン
マザー・シプトンの丸彫り
マザー・シプトンの岩穴、Knaresborough

マザー・シプトン、本名アーシュラ・サウセイルないしソンシェルMother Shipton; Ursula Southeil or Sonthiel, (伝)1488年頃-1561年)は、イギリスの予言者。多くの歴史的事件を予言・的中させたとされ、その生涯は様々な伝説的挿話に彩られている。しかし、現在では、予言も伝記もほとんどが別人による創作であると見なされている。

シプトンに関する詳細な伝記を最初に紹介したのは、リチャード・ヘッド(Richard Head:1637年?-1686年?)である(『マザー・シプトンの生涯と死』1677年。これは単なる伝記ではなく、「新たに収集された」予言を大幅に増補してマザー・シプトンの予言を全て揃えたと称している点でも特徴的な版である。何度も版を重ねた)。そこでは、彼女の生涯は以下のようなものとして紹介されている。

彼女はヨークシャーネアズバラで生まれた。その容貌の醜さから悪魔の子とも噂された。彼女は1512年にヨーク近郊の大工トビー・シプトンと結婚し、生涯を通じて多くの予言を残した。

しかし、ヘッドは後に伝記的詳細のほとんどは自分が捏造したものであると告白している。彼女の実証的な伝記は未詳である。

マザー・シプトンの予言として有名なのは次の詩である。

Carriages without horses shall go, (馬のない車両が行き、)
And accidents fill the world with woe. (事故が世界を悲嘆で満たすだろう。)
Around the world thoughts shall fly (世界中を思考が飛び行くだろう、)
In the twinkling of an eye. (瞬く間に。)
The world upside down shall be (世界はさかさまになり、)
And gold be found at the root of a tree. (そして木の根元で黄金が発見される。)
Through hills man shall ride, (丘を突き抜けて人は乗り行くが、)
And no horse be at his side. (傍らに馬はいない。)
Under water men shall walk, (水の下で人々は歩き、)
Shall ride, shall sleep, shall talk. (乗り、眠り、語るだろう。)
In the air men shall be seen, (空中に居るのを目撃されるだろう、)
In white, in black, in green; (白、黒、緑の服を着た人々が。)
Iron in the water shall float, (鉄は水に浮くだろう、)
As easily as a wooden boat. (木の船と同じ位に容易に。)
Gold shall be found and shown (黄金が発見されるだろう、)
In a land that's now not known. (まだ見ぬ土地で。)
Fire and water shall wonders do, (火と水は驚くべきことをなし、)
England shall at last admit a foe. (イングランドは遂に敵を認めるだろう。)
The world to an end shall come, (世界は終焉を迎えるだろう、)
In eighteen hundred and eighty one. (1881年に。)

これが交通・通信技術の発達をはじめとする近代化の諸相を表現していることは明白であるが、現在では、この予言は19世紀の偽作と見なされている。17世紀に何度も刊行された彼女の予言書(上記のヘッド版を含む)には、そのような予言は収録されていない。そもそも、17世紀に出されていた彼女の本来の予言書は、散文で書かれた政治色の強いものである。

問題となるのは、それらの予言書の中で最初のものですら、彼女が生きていたとされる時期から100年近く後に出されているという点である(『ヘンリー8世の治世に関するマザー・シプトンの予言』1641年)。ゆえに、刊行時点で過去になっていた的中例も、事後予言であることが疑われている。

マザー・シプトンの洞窟[編集]

現在、彼女の生まれた地とされるネアズバラには、「マザー・シプトンの洞窟」という観光スポットがある。

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