ホロフォニクス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ホロフォニクス(Holophonics)とは、アルゼンチンの技術者ウーゴ・スカレーリによって開発された、立体的音響効果をもたらす録音技術の商標である。スカレーリは、この技術の公開は混乱をもたらすとし、未だに秘匿しているためにその詳細は明らかではないが、しかし実際には、後述するように、この種の録音技術は決して新しいものではない。

1980年代、ミラノ工科大学に在学中にスカレーリが「発明」し、1983年、英国のCBSで公開された「スカレーリ・ホロフォニクス Zuccarelli Holophonics (The Matchbox Shaker)」という録音で一躍名声を得た。これは、マッチを振る音や、ある人物が床屋を訪れる際の周囲の音、花火の音などを録音したものだが、スピーカーが二つなのに対し、あらゆる方向から音が伝わる錯覚をもたらすものである。この一連の録音は、大きなセンセーションを巻き起こし、その後数年のうちにピンク・フロイドが録音に取り入れた。

ホロフォニクスの技術に関するスカレーリの主張をめぐっては、論争がある。この技術のもたらす効果は、頭部のマネキンを用いたバイノーラル録音、あるいは音の頭部伝達を考慮した伝統的な立体音響録音の効果と類似している。これらの従来の技術と比較して、ホロフォニクスが実質的に異なる、あるいは優れているといういかなる明証もない。耳音響反射(耳の内側や外側で、外部からきた音が反射する現象)は確かに存在するが、それが音像定位(ある音がどこで発されたか特定すること)の役割を果たすという彼の主張や、この音の「干渉」効果を説明するメカニズムを支持する研究はない。逆に、頭部伝達関数統合やバイノーラル録音を経た適切な「空間手がかり」(音による空間把握の手がかり)は、現場と比して遜色のないリアリスティックな立体的音響を再現するとする研究は多く存在する。[1]

参照[編集]

  1. ^ Gilkey & Anderson, Binaural and Spatial Hearing in Real and Virtual Environments, Psychology Press, 1997

外部リンク[編集]

  • Acoustic Integrity :ウーゴ・スカレーリの公式ページ。ホロフォニクスのサンプルがある。