フェンスキー=ホール法

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フェンスキー=ホール法(フェンスキー=ホールほう、英語: Fenske–Hall method)とは、計算化学における分子軌道法の一つで、通常は無機化合物に適用される。この方法は、ウィスコンシン大学のリチャード・F・フェンスキーの研究グループで開発された。この方法は、開発の最後の論文[1]を共同執筆したフェンスキーとマイケル・B・ホールにちなんで名付けられた[2]

フェンスキー=ホール法はローターン方程式から導かれ、実験データのパラメータを利用しないという意味では第一原理的手法である(半経験的分子軌道法を参照)。フェンスキー=ホール法では交換相互作用は考慮されるが、電子相関は考慮されない。また,密度汎関数理論(DFT)によるより厳密な解析に近い分子軌道の形状とそのエネルギーを、より少ない計算資源で予測することができる。そのため、フェンスキー=ホール法をDFTの近似法とみなす向きもある[2]

フェンスキー=ホール法の計算は、Jimp 2[3]で行うことができる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Michael B. Hall; Richard F. Fenske (1972). “Electronic structure and bonding in methyl- and perfluoromethyl(pentacarbonyl)manganese”. Inorg. Chem. 11 (4): 768–775. doi:10.1021/ic50110a022. 
  2. ^ a b Charles Edwin Webster; Michael B. Hall (2005). “Chapter 40. Forty years of Fenske-Hall molecular orbital theory”. Theory and Applications of Computational Chemistry: The First Forty Years. pp. 1143–1165. doi:10.1016/B978-044451719-7/50083-4. ISBN 978-0-444-51719-7 
  3. ^ Jimp 2”. Texas A&M University. 2021年12月11日閲覧。