ノート:世界の死刑制度の現状

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項目の冒頭、「アムネスティの統計では死刑廃止国の方が死刑存置国よりも多く記載されているが、実際は虚偽であり」と記されていますが、「虚偽」と言われているアムネスティの統計が何であるかが不明です。 おそらく注1に記された日垣隆氏の著作からの孫引きだと思われますが、英語版にもアムネスティの分類は使われておらず確認できませんでした。そこで要出典としました。--Zudecker 2011年9月9日 (金) 09:02 (UTC)[返信]

アムネスティの死刑レポートDeath sentences and executions in 2010を見るかぎりでは、死刑を事実上廃止している国、すべての犯罪で死刑を廃止している国、一部の犯罪をのぞいて死刑を廃止している国という記述があり(ex. 27p)、「虚偽」と断じる根拠は確認できませんでした。--Zudecker 2011年9月9日 (金) 09:15 (UTC)[返信]

冒頭の文「 これらの統計はハイジャックなどのテロ犯罪に死刑を適用する国々までも、それが特別法という理由で死刑廃止国に分類している。また、しばらく死刑執行がないことをもって死刑廃止国に分類し、有事や内乱のみに死刑条文がある場合にも死刑廃止国に算入しているなど、不正確であり、補正して検討すると、死刑存置国の方が多く、人口でみると9割以上が死刑制度のある国で生活しているという指摘がなされている」という記述ですが、アムネスティによる死刑廃止国/存置国の分類を「不正確」とする根拠が、この問題にかんして一般性をもちうるのか不明です。したがって「補正」が適切であるとも言えず、出典の日垣氏の著作の該当個所(p.76-77)にもこの点について明確な説明ないし参照指示がないため、この再分類は日垣氏の主観に基づいているおそれがあります。--Iscar2011年9月9日 (金) 23:42 (UTC)[返信]

上記箇所につきまして、著書では第三者が検証可能な仕方で示されていなかったため、客観性のある記述として紹介する事には問題があると思われ、要検証としました。--Iscar2011年9月10日 (土) 09:41 (UTC)[返信]

「アムネスティの統計では死刑廃止国の方が死刑存置国よりも多く記載されているが、実際は虚偽であり」という文ですが、出典の日垣氏著書に参照指示のある Amnesty International, Facts and Figures on the Death Penalty(2003) [1] においても、zudeckerさんが指摘されたと同様の分類、および分類にかんする一定の説明が行われており、「虚偽」とするに足る根拠は見あたりませんでした。もともと日垣氏の著書の当該箇所は、アムネスティの資料を「扇動的資料」の「意図的な虚偽」と呼ぶ罵倒的性格のものであり、資料の扱いの公平性に疑問の残るものと思われます。--Iscar2011年9月10日 (土) 09:46 (UTC)[返信]

死刑存廃をめぐる国際状況にかんする日垣氏文章の検討[編集]

Zudeckerさんおよび私が、それぞれ「要検証」としていた、日垣氏著作を出典とする冒頭の文章を削除しました。以下にその理由を述べます。

まず、削除した文が典拠としているのは以下の文章です。


「アムネスティの最新統計によれば、死刑廃止は一一二ヵ国、死刑存置は八三ヵ国と両者は逆転し、国際世論は圧倒的に死刑廃止の流れに向かっている、ということになっています(Amnesty International, Facts and Figures on the Death Penalty)。 が、アムネスティの煽動的資料には意図的な虚偽が多いので注意してください。

 これらの統計でも、ハイジャックによるテロ犯罪に死刑を適用する特別法をもつ国々まで、それが特別法であることを理由に「死刑廃止国」にカウントし(一八ヵ国)、しばらく死刑執行がないことをもって「死刑廃止国」に(二五ヵ国)、有事や内乱罪にのみ死刑条文がある国々も「死刑廃止国」に参入しているので(一三ヵ国)、これらをすべて補正すると結局のところ、死刑廃止は六一ヵ国、死刑存置は一三九ヵ国というのが最新の色分けとなり、国際世論が廃止の方向に動いているわけではないことがわかります。アメリカやナイジェリアのように、州によって刑法が異なる国々もあり、それらも考慮すると「刑法」単位では七八%が、人口では九二%が死刑制度のあるエリアで生活していることになるのです。」 (日垣隆 『裁判官に気をつけろ!』 角川書店p.76-7, 文春文庫p.100-101)


この文章には、情報の信頼性において重大な問題が幾つかあると思われます。それを以下の【1】~【3】に分けて検討します。


【1】 著者の挙げる数字およびその根拠をめぐる問題

日垣氏は上記引用箇所において、アムネスティが死刑廃止国/存置国の分類を不適切に用いて「意図的な虚偽」を行っているととれる書き方をしている。しかし参照元となる Amnesty International, Facts and Figures on the Death Penalty 2003[2] では記述は以下の通りになっている。(日垣氏は年数を明記していないが、死刑廃止国/存置国の数が合致するのは2003年の資料。)

----------------(以下該当部分を訳出)

1.死刑廃止国と死刑存置国

現在世界の過半数の国が死刑を法律上ないし事実上廃止している。

アムネスティ・インターナショナルの最新情報が示すのは以下の通りである。

(1) 76の国と地域が、全ての犯罪にかんして死刑を廃止している。

(2) 15の国が、戦時犯罪のような例外的犯罪を除いた全ての犯罪にかんして死刑を廃止している。

(3) 21の国が、事実上の死刑廃止国と考えうる。:これらの国々は法律上死刑を存置しているが、過去10年かそれ以上にわたって死刑を行っておらず、

                                死刑を行わないという政策または慣例を有していると思われる。

これらを総合すると112の国が、死刑を法律上ないし事実上廃止している。

(4) それ以外の83の国が死刑を存置し執行している、しかし実際に1年以内に死刑を執行した国の数はより少数となる。

-----------------(訳出終わり)


これに対する日垣氏の指摘

(イ) テロ犯罪に死刑を適用する特別法をもつ国々を「死刑廃止国」にカウント -- 18ヵ国

(ロ) しばらく死刑執行がないことをもって「死刑廃止国」にカウント -- 25ヵ国

(ハ) 有事や内乱罪にのみ死刑条文がある国々も「死刑廃止国」にカウント -- 13ヵ国

これらを(廃止国から存置国へ)補正すると 死刑廃止国 -- 61ヵ国、死刑存置国 -- 139ヵ国 となる


(イ)~(ハ)の合計は56ヵ国であり、これをアムネスティの公表する死刑廃止国から差し引くと、死刑廃止国の数は日垣氏の言う61ヵ国ではなく56ヵ国となる。この点について、日垣氏の言う「補正」の計算間違いによるものか、それとも(イ)~(ハ)の数に重複があるのか、文章に手掛かりがない。

また(イ)~(ハ)の指摘が、アムネスティの資料とどのように対応しているのかも明らかでない。(ロ)はアムネスティの(3)に、(イ)(ハ)は(2)に対応しているように見えるが、数が一致しておらず、表現も微妙に異なる。これについては二通りの解釈が可能と考える。


①(イ)~(ハ)はアムネスティの分類(2)(3)を指しているとする解釈

数の不一致を措いて、仮に(イ)~(ハ)が(2)(3)を指している場合、アムネスティが(1)~(3)の分類の定義を予め明示している以上、日垣氏の指摘はたんにそれを言い換えたにすぎず、アムネスティの資料について意図的か否かにかかわらず「虚偽」と呼ぶことはできない。


②(イ)~(ハ)はアムネスティの(1)を含んでいるとする解釈

日垣氏がアムネスティの資料に「虚偽がある」と言いうるには、(イ)~(ハ)には実はアムネスティの(1)が含まれているというのでなければならない。もし、アムネスティが「全ての犯罪にかんして死刑を廃止している」としている国の中に(イ)~(ハ)が含まれているとすれば、(意図的かはともかく)「虚偽」と言える。

ところで、アムネスティはABOLITIONIST AND RETENTIONIST COUNTRIES[3]において、上記(1)~(3)に含まれる具体的な国名・地域名を公表している(資料は最新のものであり、どの国が何年に「全ての犯罪にかんして死刑を廃止」したかといった情報も掲載されている)。

この中に「虚偽」が含まれているとするのならば、いずれの国が(イ)~(ハ)にあたるのだろうか。 日垣氏は、著書のなかでこの点について全くふれていない。また他資料への参照指示などもない。アムネスティの資料を「意図的な虚偽」としているが、その根拠となる(イ)~(ハ)を事実とする証拠も、第三者が検証可能な資料も、何一つ示されていない。


以上【1】を纏めると 日垣氏による(イ)~(ハ)の指摘は、アムネスティの資料の具体的に何を対象としているのかも、その指摘の元となる事実の有無も不明であり、したがって指摘として意味のある文章とは考えられない。


【2】 死刑に関していかなる法律・慣習をもつ国が、廃止国/存置国に分類されるべきかという理由の欠如

アムネスティの分類における(2)(3)を「死刑存置国」に含めるべきだ、という議論はありうるだろう。そのためには廃止国/存置国の区分のあり方について、相応の理由を挙げる必要があると思われる。少なくとも(2)(3)や日垣氏による(イ)~(ハ)は存置国に自明にカウントされる、というコンセンサスがある訳ではないだろう。しかし、日垣氏が死刑廃止国/存置国の分類について論じているのは、著作において上記引用箇所のみであり、ここでそうした理由の提示はなされていない(理由なく「補正」している)。

※日垣氏の文章を読むときに「補正」が自然に感じられるのは、アムネスティの資料が廃止国/存置国の総数だけをもっぱら強調し、そこで行われている目立たない操作に日垣氏が着目した、と取れるような書き方がされているからである。しかし実際に資料にあたるとそうなっておらず、上記訳出部分はアムネスティの資料の冒頭におかれている。
資料をみるかぎり、アムネスティの最大の関心は「死刑がじっさいに行われないこと」であり、分類のポイントもその評価にある。10年以上死刑が行われない、戦時犯など特例以外に死刑を適用する法律がない、という国を、この観点から廃止国として条件付きで評価するというのがアムネスティのスタンスである。
これを日垣氏のように、「廃止国の数を多くして、国際世論が死刑廃止に向かってると見せるトリックだ」と言いだすと、「死刑をめぐる各国制度・慣習のあり方を、それぞれの立場からどう評価するか」という当初の関心が、「廃止/存置をどう定義すれば、国際世論の趨勢が自分の立場と重なる格好になるのか」というトリヴィアルな問題にシフトして不毛な論争に陥るおそれがある。廃止国/存置国の分類をめぐっては、こうした分類のための分類に陥らないよう注意する必要がある。


【3】 別の単位をもちだす、又その数値の根拠を示さないという問題

引用のまとめで日垣氏の述べる、「アメリカやナイジェリアのように、州によって刑法が異なる国々もあり、それらも考慮すると「刑法」単位では七八%が、人口では九二%が死刑制度のあるエリアで生活していることになるのです。」という記述にも問題がある。

それまで死刑廃止国/存置国の数を問題にしていながら、まとめの記述で唐突に刑法単位、人口エリアといった別の単位を持ちだすのはミスリーディングである。又そもそも、ここでの78%、92%という数値も、どのような資料に基づき、いかなる手続きを経て算出したものなのかまったく明らかにされていない。(ちなみにアメリカとナイジェリアは、アムネスティの資料では死刑存置国に分類されている。)


以上【1】~【3】の検討を踏まえると、引用した日垣氏の文章は、その記述の全面にわたって信頼性に乏しく、項目の記述にあたって当該箇所を典拠とすることには重大な問題があると考えざるを得ません。したがってこれを典拠とした


「 アムネスティの統計では死刑廃止国の方が死刑存置国よりも多く記載されているが、実際は虚偽であり、これらの統計はハイジャックなどのテロ犯罪に死刑を適用する国々までも、それが特別法という理由で死刑廃止国に分類している。また、しばらく死刑執行がないことをもって死刑廃止国に分類し、有事や内乱のみに死刑条文がある場合にも死刑廃止国に算入しているなど、不正確であり、補正して検討すると、死刑存置国の方が多く、人口でみると9割以上が死刑制度のある国で生活しているという指摘がなされている。 」


という記述も、客観性・中立性を欠く結果となっていることは明らかであり、この項目から削除することが適当と考えます。 また再記述の場合には、上記【1】~【3】で検討した問題点を個別にクリアする必要があると思われます。

--Iscar 2011年9月11日 (日) 12:45 (UTC)[返信]

【4】補遺:資料の扱いにかんする全般的な杜撰さ
日垣氏の当該文章は、死刑存廃問題関連のトピックで出典に使われやすいようなので、細かくて申し訳ないですが、以下の指摘も無用でないと思い補足しました。
日垣氏の上記引用文章中における廃止国数/存置国数の「両者は逆転し」、というのが何処を基準にしているのか不明ですが、文章をふつうに読む限り直近(2003年頃)において逆転したと読めます。しかし資料がしめす実際の推移は以下の通りです。
廃止国数/存置国数
1999年 105 / 90[4]
2000年 108 / 87[5]
2001年 108 / 87[6]
2002年 111 / 84[7]
2003年 112 / 83[8]
これが日垣氏の単なる思い違いによるものかは分かりませんが、これだけ短い文章でもいい加減な記述が多いのは分かると思います。--Iscar 2011年9月15日 (木) 12:30 (UTC)[返信]

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