ドーギー

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立ち耳のドーギー

ドーギー (英: Dorgi, または Dorgie) は、英国イングランド原産の愛玩用二重純血犬種である。愛玩用のそれといっても最近作出された犬種ではなく、英国王室で飼育されていたという変わった経歴を持つ。

歴史[編集]

ドーギーは英国王室で起こった事故が元で作出された。女王エリザベス2世の所持するウェルシュ・コーギー・ペンブロークの雌犬に、妹のマーガレット王女のペットであったミニチュア・ダックスフント(ロングコート)のピップキン号が逃走して交配してしまったことがこの犬種の始まりである。

専門的に言うとこの事故は「管理不全による非人為的異種交配」にあたり、現在でも知識の乏しい人が起こしてしまう事故であり、米国などではしばしばこれによって新たな二重純血犬種が作出されることがある。それほど珍しいことではないものの、たまたま起こった場所が何事につけても正統性を重んじる王室であり、そこで管理不全による非人為的異種交配が元で新品種が作出された例は非常に少なかったため、ドーギーは二重純血犬種の特例として取り上げられることがある。

雄のドーギー

また女王自身が自国のケネルクラブであるロンドンケネルクラブの後援者でもあったため、本来ならばこのようなミックス犬は忌まれて棄てられると思われたが、彼女はこれを気に入って品種化する事を宣言し、ピップキン号を妹から借りてペンブロークとの交配を繰り返し、その子孫を元に改良が行われて作出された。そののちドーギーは周囲の反対を押し切って女王と一緒に肖像画に描かれ、それがロンドンケネルクラブの入口に飾られるまでになった。

しかし単なる異種交配種[1]と見なされていたためケネルクラブには公認犬種として登録される事はなく、やがて王室のドーギーたちも天寿を全うしてしまった。その後、民間で犬種を蘇えらせようと改良・固定の取り組みが行われた結果[2]、安定した犬質が確保されるようになった。現在は英国や米国などでペットとして飼育されており、二重純血犬種ブームが去った後でもそれに左右されることなく飼われている。エリザベス女王自身も愛犬として4匹を飼っているという[3]

特徴[編集]

外見はちょうどペンブロークとダックスフンドの中間に固定されているが、脚が短すぎたり胴が長すぎたりしないようにすることがドーギーのスタンダード(犬種基準)とされている。コートは長めのロングコートタイプと、短いショートコートタイプのものがあり、別々に繁殖が行われている。胴は長めで脚は短く、尾はサーベル形の垂れ尾。耳は本来垂れ耳だが、中には立ち耳の犬もいる(冒頭写真)。

小型犬サイズで、性格は外交的で活発で、友好的である。ペンブロークのように体力が多く、ダックスフンドのように飼育がしやすい犬種である。しかし、全てが2犬種のいいとこ取りというわけにはいかず、椎間板ヘルニア腎臓結石になりやすいという欠点がある。

脚注[編集]

  1. ^ この時代に二重純血犬種という言葉は無かった。
  2. ^ 再生の最中、コッカープーにより巻き起こされた二重純血犬種ブームが興ったが、再生者たちはブームに乗って知名度を上げることよりも犬質を安定的に確保することに留意したという。
  3. ^ "Family Pets", The British Monarchy official website.

参考[編集]

  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』 デズモンド・モリス著、福山英也・大木卓訳 (誠文堂新光社、2007年)

関連項目[編集]