シリアの聖エフレムの祝文

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シリアの聖エフレムの祝文(シリアのせいエフレムのしゅくぶん、ギリシア語: Η ευχή του Αγίου Εφραίμ του Σύρου, ロシア語: Молитва св.Ефрема Сирина, 英語: The Lenten Prayer of St Ephrem the Syrian)は、シリアのエフレムによる、正教会大斎(おおものいみ)において唱えられる祈祷文。単に「聖エフレムの祝文」とも呼ばれる。

奉神礼時課)の最後に二回ずつ唱えられるほか[1]公祈祷においてのみならず、私祈祷においても唱えられる[2]痛悔の心に満ちた祈祷として、大斎期間に唱えられることが正教会で奨励される[3]

祈祷文[編集]

日本語[編集]

大拝一次たいはいいちじ」と書かれているところで、十字を画き、地に伏す「伏拝(ふくはい)」を行う。「小拝しょうはい」と書かれているところでは、十字を画き、腰を曲げる礼をする。以下、祈祷書から引用したが、一部、漢字を新字体に置き換えたり、ルビを現代仮名遣いにしたり省略したりした箇所がある。また、句読点は三歌斎経に拠っている。

生命いのち主宰しゅさいよ、怠惰おこたりと、愁悶もだえと、矜誇ほこりと、空談むだごとこころわれあたふるなかれ。 大拝一次

貞操みさおと、謙遜へりくだりと、忍耐こらえと、愛のこころわれなんじぼく)にあたえ給え。 大拝一次

嗚呼ああしゅおうよ、われつみ兄弟けいていせざるをたまえ、けだしなんじ世世よよあが めらる。「アミン」 大拝一次

又小拝すること十二次、毎次誦して曰く、

かみよ、われ罪人ざいにんきよたまえ。

ふたたび全文を誦す

主吾が生命の主宰よ、怠惰と、愁悶と、矜誇と、空談の情を吾に與うる勿れ。貞操と、謙遜と、忍耐と、愛の情を我爾の僕(婢)に與え給え。嗚呼主王よ、我に我が罪を見、我が兄弟を議せざるを賜え、蓋爾は世世に崇め讃めらる。「アミン」

『小祈祷書』75頁 - 77頁、日本ハリストス正教会教団 府主教庁 平成3年4月再版

『大斎第一週奉事式略』では、「矜誇ほこり」の部分は「陵駕しのぎ」と訳されている[4]

日本語以外の言語[編集]

ギリシャ語[編集]

Κύριε και Δέσποτα της ζωής μου, πνεύμα αργίας, περιεργίας, φιλαρχίας, και αργολογίας μη μοι δως.

Πνεύμα δε σωφροσύνης, ταπεινοφροσύνης, υπομονής, και αγάπης χάρισε μοι τω σω δούλω.

Ναι Κύριε Βασιλεύ, δώρησαί μοι του οράν τα εμά πταίσματα, και μη κατακρίνειν τον αδελφόν μου˙ ότι ευλογητός ει εις τους αιώνας των αιώνων. Αμήν.

Η προσευχή του αγίου Εφραίμ του ΣύρουΑντιαιρετικόν Εγκόλπιον

以上の祈祷文には、「神よ、我罪人を浄め給え」以降は含まれていない。

教会スラヴ語[編集]

Господи и Владыко живота моего, дух праздности, уныния, любоначалия и празднословия не даждь ми.

Дух же целомудрия, смиренномудрия, терпения и любве даруй ми, рабу Твоему.

Ей, Господи, Царю, даруй ми зрети моя прегрешения и не осуждати брата моего, яко благословен еси во веки веков. Аминь.

Боже, очисти мя грешнаго.

Объяснения церковных и домашних молитв. Молитва св. Ефрема СиринаПравославие.Ru / Pravoslavie.Ru

以上の祈祷文には、「神よ、我罪人を浄め給え」は含まれているが、最後の繰り返し部分は含まれていない。

英語[編集]

O Lord and Master of my life! Take from me the spirit of sloth, faint-heartedness, lust of power, and idle talk. But give rather the spirit of chastity, humility, patience, and love to Thy servant. Yea, O Lord and King! Grant me to see my own errors and not to judge my brother; For Thou art blessed unto ages of ages. Amen

The Lenten Prayer of St Ephrem the SyrianSt. Luke's Orthodox Mission

以上の祈祷文には、「神よ、我罪人を浄め給え」以降は含まれていない。

正教会における評価[編集]

正教会において聖エフレムの祝文は、人の靈(たましい)を目覚めさせ、人間性を回復させ、生活を精神的に向上させるものであると評価されている[5]

祈祷文の唱えられる期間[編集]

正教会大斎(おおものいみ)期間の平日に唱えられる(土日には唱えられない)[1]。ただ厳密に言えば、大斎に入る赦罪の晩課より前に設定されている、大斎準備週間である乾酪週間火曜日晩課には既に唱えられ始める[6]。聖堂での祈りにおいては受難週間聖大水曜日の先備聖体礼儀まで唱えられる。その後は聖堂では唱えられなくなるが、私室での祈祷においては受難週間聖大金曜日まで聖エフレムの祝文を唱えるよう三歌斎経で指示されている[7]

脚注[編集]

外部リンク[編集]