ウェクスラー成人知能検査

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en: Wechsler Adult Intelligence Scale 12:43, 19 October 2006. UTCより翻訳、一部修正。

ウェクスラー成人知能検査(ウェクスラーせいじんちのうけんさ、Wechsler Adult Intelligence Scale、略称WAIS)は、16歳以上の成人用に標準化された、ウェクスラー・ベルビュー知能検査1939年)の改訂版として、1955年2月に出版された、知能(IQ)を測るための一般的な検査である。

知能は、目的を持って行動し、合理的に考え、効率的に環境と接する個人の総体的能力として定義されている。

概要[編集]

全検査IQは、言語性検査と動作性検査から構成されている。(WAIS-IIIは、7言語性検査と7動作性検査の、計14下位検査から成っている。2008年に最新のWAIS-IV(英語版)が出版された。)

ウェクスラー式知能検査では、次の3つのIQを得ることができる:

  1. 言語性IQ
  2. 動作性IQ
  3. 合成得点による全検査IQ

1981年には、16歳から74歳の9年齢群による1,880名のアメリカ人サンプルで、WAIS-Rが標準化された。この検査は高い信頼性を有しているとみなされている。

IQの平均は100、標準偏差は15(平均より上下に分散)である。約3分の2程度の成人のIQはこの範囲(85~115)に含まれる。

検査の変遷[編集]

WAIS-IIIの適用年齢は16歳から89歳である。16歳以下の受検者にはWechsler Intelligence Scale for Children (WISC, 7-16歳)や、Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence(WPPSI, 2 1/2-7歳)を使用する。 近年になって4下位検査による短縮版が発行され、短縮版では、より短い時間で効果的に、言語性IQ、動作性IQ、全検査IQを推定することができる。Wechsler Abbreviated Scale of Intelligence (WASI)(日本未刊行)では、推定IQを求めるために、WAISの「単語」「類似」「積木模様」「行列推理」を使用している。

WAIS-IIIの14下位検査[編集]

言語性検査[編集]

知識 
文化によって獲得した一般知識の程度。(例「ビクトリアの長は誰ですか?」)
理解
抽象的な社会慣習、規則、経験を扱う能力。(例「一石二鳥という諺はどのような意味ですか?」)
算数
数学問題を暗算する集中力。(例「1ドルで45セント切手を何枚買えますか?」)
類似
抽象言語理解。(例「りんごと梨はどのようなところが似ていますか?」)
単語
学習や理解の程度、および語彙の言語表現力。(例「ギターとは何ですか?」)
数唱
注意・集中。(順唱例「1-2-3」、逆唱例「3-2-1」)
語音整列
注意と作動記憶。

動作性検査[編集]

絵画完成
視覚的細部を素早く感知する能力。
符号
視覚的-運動協応、運動と心のスピード。
積木模様
空間認知、視覚的抽象処理、問題解決力。
行列推理
非言語的抽象課題解決力、帰納的推理、空間推理。
絵画配列
論理/逐次的推理、社会見識。
記号探し
視覚認知、スピード。
組合せ
視覚分析、統合、組み立て。

補助問題として「符号補助問題1(対再生)(自由再生)」と「符号補助問題2(視写)」がある。

因子による群指数[編集]

WAIS-IIIでは、言語性や動作性といったIQの他に、次の4つの群指数が得られる。

言語理解(VC)[編集]

  • 単語
  • 知識
  • 類似

知覚統合(PO)[編集]

  • 絵画完成
  • 積木模様
  • 行列推理

作動記憶(WM)[編集]

  • 算数
  • 数唱
  • 語音整列

処理速度(PS)[編集]

  • 符号
  • 記号探し

Note: 絵画配列、理解、組合せは、群指数には使用されない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]