アレア (バンド)

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アレア (Area)はイタリアプログレッシブ・ロックジャズ・ロックバンド。イタリアン・プログレ勢の中でもとりわけフリー・ジャズ色の強いバンドであった。

概要[編集]

デメトリオ・ストラトス(Vo)、ジュリオ・カピオッツォ(Ds)、パトリツィオ・ファリセッリ(Key, Synth)等を中心に1972年に結成。"International POPular Group"という自称に恥じない無国籍的なアヴァンギャルド・ミュージックを展開し、歌唱・楽奏のインテンシヴなハイ・テクニックとともに高い評価を得た。
また政治性・批評性の強さもあり、レパートリーに「インターナショナル」を加えたり、イタリアの共産党大会で彼らの歌が歌われたこと、左傾的な思想に基づいての文明批評的な歌詞(1stアルバムの題名はアウシュヴィッツ内に掲げられたスローガンであるほか、実際の事件に材を採ったものがいくつか存在する)など、初期の過激な左翼思想との結びつきが知られている。ただし彼らは政治のみにとどまらず、ヴァレリー・ソラナスヴィオレット・ノジエールなどを題材としたり、アンドレ・ブルトンジャック・ラカンなどを歌詞の下敷きとするような芸術的な関心も持ち合わせていた。
1979年デメトリオ・ストラトスが白血病により死去。2000年、ジュリオ・カピオッツォの死去により解散。

特徴[編集]

音楽性[編集]

フリージャズ民族音楽の過激な折衷に当時のポピュラー音楽としては非常に実験的な要素を内包しており、一般的なジャズ・ロックよりも狂騒的かつエネルギッシュなサウンドを誇る。奔放な変拍子や即興を駆使した楽曲と難解でミクスチャー的な音楽性をジャズ/ロック的ダイナミズムと共に表現できる演奏技術の高さと、デメトリオ・ストラトスの卓越した技術とエスニックな泥臭さを兼ね備えたヴォーカルで知られている。また現代音楽的なアプローチの導入も特筆すべき点であり、爆発的な即興演奏と具体音や電子ノイズの混合など、生身のバンド演奏のみに拘泥しきらない実験性も兼ね備えていた。またプレミアータ・フォルネリア・マルコーニバンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソをはじめとする同国のプログレッシヴ・ロックバンドの多くが70年代後期から次第にポップスやフュージョンに傾倒し、多かれ少なかれコマーシャル性を意識した音楽性を打ち出していったことに反して、アレアはストラトスの死まで独特の音楽性を変節させることはなかった。

その独特の存在感故現在でもその評価は高く、イタリアン・プログレッシヴ・ロックに多いクラシック/シンフォニック色は希薄であり、なおかつ一般的なジャズ・ロックからは逸脱した混沌とした音楽性ながら、イタリアン・プログレ、ひいてはオザンナ一派やアルティ・エ・メスティエリらに代表される同国のジャズ・ロック史においては未だに代表的な位置を占めている。

逸話・その他[編集]

  • 1stアルバムには作曲者としてファリセッリのみがクレジットされているが、ジヴァスによればトファーニの前任者のギタリスト、ジョニー・ランビッツィが曲作りの上で大きな貢献をした、との事。ファリセッリもインタビューの中でランビッツィの貢献について問われた際に、それを認めている。ランビッツィは初期のマネージャだったフランコ・マモーネ(PFM、Bancoのマネージャでもあった)の意向でバンドを去り、代わりにロンドンに居たトファーニが呼び寄せられた。
  • アレアの曲にはブルガリア民謡のメロディーが多数引用されている。例えば"Luglio, Agosto, Settembre(nero)"にはJivka Klinkovaの"Bulgarian Suite"(Klinkovaの故郷の民謡を題材に作られた)[1]、"Cometa Rossa"には"Krivo Horo"のメロディーがそれぞれ引用されている事が知られている。
  • ジュリオ・カピオッツォは、彼の地元のエミリア=ロマーニャ地方では知らぬ者が居ない程の頑固な癇癪持ち(の凄腕ドラマー)だった。しかしアレアの他のメンバーにも安易に妥協する性格の者はいなかった為、意見の衝突によってバンドが解散の危機を迎える事も度々あった。2000年8月、ファリセッリとバンドの方針について口論中に彼は発作を起こして倒れ、ファリセッリに抱えられながら、アレアのバンドとしての生命と共に天に召された。

メンバーと担当楽器[編集]

  • デメトリオ・ストラトス(Vo,Key)
  • ジュリオ・カピオッツォ(Ds,Perc)
  • パトリツィオ・ファリセッリ(Key, Synth)
  • パオロ・トファーニ(G,Synth)
  • ヤン・パトリック・エラルド・ジヴァス(B) →PFM
  • アレス・タヴォラッツィ(B,Trmb)
  • ヴィクター・エドゥアルド・ブスネッロ(Sax)
  • ジャンニ・サッシ(フランケンシュタイン)(Lyrics, Artwork)
  • ヒュー・バレン(B)
  • ウォルター・カローニ(Ds)
  • ワルター・パオーリ(Ds)

来歴[編集]

1972年、ストラトス、カピオッツォ、ファリセッリ等を中心に結成。
1973年、ジャンニ・サッシと共にCrampsレーベルを立ち上げ、デビューアルバム『Arbeit Macht Frei』を発表。
1974年、ジヴァスとブスネッロが抜け、代わりにタヴォラッツィが参加。
1975年、3rdアルバム『Crac!』がイタリアの評論家賞を受賞。
1977年、トファーニ脱退。デメトリオ・ストラトスのソロ・アルバム以外のCrampsレーベルとの契約を打ち切る。
1978年、Ascoltレーベルに移籍し『1978』を発表。
1979年6月13日デメトリオ・ストラトス白血病により死去。翌6月14日にはミラノで彼の支援コンサートが企画されていたが、急遽追悼コンサートとして行われた。コンサートには6万人の観客が集まり、演奏の模様は『1979 Il Concerto』としてリリースされた。『1978』が2度目の評論家賞受賞作となる。
1980年の『Tic&Tac』発表後、1982年まで活動を続けるが、以後活動停止状態になる。
1986年1987年、ジュリオ・カピオッツォは元・バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソのキーボード奏者であるジャンニ・ノチェンツィとの2人組バンドにて、日本の楽器メーカーAKAIの製品のデモ演奏の仕事を請け、ヨーロッパ各地を回り、1987年4月には東京(ラフォーレ原宿)でのAKAIのイベントでのデモ演奏の為に来日している。
1992年、カピオッツォとファリセッリとタボラッツィで短期間のツアーを行う。
1997年にカピオッツォとファリセッリがゲストミュージシャンを加えて再結成。
2000年、ジュリオ・カピオッツォの死去により解散。
なお2005年、ファリセッリがバンドの代表曲をアコースティック・ピアノでカヴァーしたソロ作『Area Variazioni Per Pianoforte』を発表している。
2009年8月25日、デメトリオ・ストラトス追悼コンサートにおいてファリセッリ、タボラッツィ、トファーニがマウロ・パガーニをゲストに加えて一時的に再結成。[2]
2010年に正式に再結成。ドラマーとしてワルター・パオーリが参加。
2012年11月に再結成ツアーの模様を記録したLive CD『Live 2012』をリリースする。
2013年4月にアレアとして初来日し、「イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル 最終楽章 2013」のトリを取る。アンコールではマウロ・パガーニと一緒に"Gioia e Rivoluzione"を演奏した。9月にも再来日している。

ディスコグラフィー[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

  • 1973 Arbeit Macht Frei
  • 1974 Caution Radiation Area
  • 1974 Crac!
  • 1976 Maledetti (Maudits)
  • 1978 1978 Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano! (les dieux s'en vont, les enragés restent!)
  • 1980 Tic & Tac
  • 1997 Chernobyl 7991

ライヴ・アルバム[編集]

  • 1975 Are(A)zione
  • 1979 event '76
  • 1997 Concerto Teatro Uomo
  • 1997 Parigi-Lisbona
  • 2005 Live Torino 1977
  • 2012 Live 2012

コンピレーション[編集]

  • 1977 Anto/logicamente
  • 1980 Area '70
  • 2004 Area International Popular Group
  • 2005 International Popular Group

その他[編集]

  • 1976 Parco Lambro(フェスティバルの実況録音盤、オムニバス参加)
  • 1979 1979 Il Concerto(デメトリオ・ストラトス追悼コンサート録音)
  • 2002 Revolution(『自由への叫び』『汚染地帯』『クラック!』『アレ(ア)ツィオーネ』をまとめたボックスセット)
  • 2002 Live Concerts Box(『コンチェルト・テアトロ・ウオモ』『パリ・リスボン』をまとめボーナストラックを収めたボックスセット)

映像作品[編集]

関連書籍[編集]

  • 2005 Gianpaolo Chiaricò著 『Area/Musica e rivoluzione』 (『Parco Lambro』のCD版が付属)

脚注[編集]

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  1. ^ http://thmonk.cocolog-nifty.com/smirne/2005/01/m001_luglio_ago.html
  2. ^ http://www.youtube.com/watch?v=oKF0RgDekYs
    http://www.youtube.com/watch?v=u3drwKSZZlw
    http://www.youtube.com/watch?v=c-36l1MNkFA

関連項目[編集]

外部リンク[編集]