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2019年7月23日 (火) 10:03時点における版

多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう、英:Platelet-rich plasma, 略称:PRP)は、血小板の豊富な濃縮物である[1]血液中の血漿遠心分離によって調整したもの[2]。血小板の濃度は本来の2-7倍となる[2]赤血球は除去されている。PRPには、800以上の可溶性のタンパク質や分子が含まれ[3]成長因子が豊富に含まれる[1]。これまでに報告される副作用は注射に伴う痛みなどで少ないとされる[1]

医療

PRPよく用いられている領域には、骨格や結合組織の再生、口腔や顔である[1]。成長因子を増加させることで治癒プロセスを高め、修復を促進する[3]。自分の細胞を使用するので安全だとみなされている[3]

投与方法

手へのPRPの注射投与。

一般に注射される。

分子量が500ダルトンを超えると、皮膚の角質層を通過できないとされ、「500ダルトンの法則」と呼ばれているが、PRPは水溶性であるため、脂質が豊富な角質層ではさらに不利である[4]。これを迂回するために、PRPの医療利用では一般にマイクロニードリングが使用されるがほかに、イオン導入エレクトロポレーションマイクロニードル超音波導入などが使われる[4]

有効性

変形性関節症では、主にヒアルロン酸と比較した9件のランダム化比較試験 (RCT) があり、中期(12か月)までの痛みの改善に比較された治療法よりPRPの方が効果があるが、全体的にエビデンスレベルは低く、質の高いRCTの実施が必要である(2019年)[3]

慢性腰痛ではRCTが1件しかなく証拠が欠けている(2019年のレビュー)[5]

男性型脱毛症 (AGA) では9件のRCTがあり、有効とするのは7件であり、有望だが治療手順は統一されてておらず最適に使用するための標準化が必要である(2019年)[2]

顎関節症では研究は少ないが有望な有効性を報告している[6]

2019年のレビューでは、10件の試験管研究と1件の動物研究から、抗菌作用があり特に口腔、歯肉、歯周感染症に利用できるが、臨床的に有効かはさらに調査される必要がある[7]

副作用

2018年のレビューでも、唯一の副作用は注射による痛みと腫れで、全体的な有害な反応は非常に少ない[1]。しかしさらなる調査は必要である[1]

調整法

血液を遠心分離してPRPが調整される。

PRPの調整法は、単なる遠心分離、二重遠心分離、選択的ろ過など様々である[3]。一般的には赤血球を遠心分離し、それから遠心分離によって血小板を濃縮する[2]。迅速に分離できる[1]。調整方法に対する合意がない[1]

別の治療法である競合する肝細胞治療では、数週間の培養が必要である[1]

構成物

血小板は800以上の可溶性のタンパク質や分子を含んでおり、それらは成長因子サイトカインケモカイン、膜タンパク質、メッセンジャー分子、代謝産物といったものである[3]。成長因子が豊富である[1]

別の治療法である競合する肝細胞治療では、特定の成長因子とサイトカインを産生する[1]

歴史

ラットでの創傷治癒の報告では1970年までさかのぼる[3]。1970年代にPRPの用語が登場した[1]。医療での利用は、Whitmanが口腔領域において1997年に最初に報告した[3]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l Shwetha Hulimavu Ramaswamy Reddy, Roopa Reddy, N. Chaitanya Babu, G. N. Ashok (2018). “Stem-cell therapy and platelet-rich plasma in regenerative medicines: A review on pros and cons of the technologies”. Journal of oral and maxillofacial pathology : JOMFP 22 (3): 367–374. doi:10.4103/jomfp.JOMFP_93_18. PMC 6306612. PMID 30651682. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6306612/. 
  2. ^ a b c d Stevens, J.; Khetarpal, S. (2019). “Platelet-rich plasma for androgenetic alopecia: A review of the literature and proposed treatment protocol”. International Journal of Women's Dermatology 5 (1): 46–51. doi:10.1016/j.ijwd.2018.08.004. PMC 6374694. PMID 30809579. https://doi.org/10.1016/j.ijwd.2018.08.004. 
  3. ^ a b c d e f g h Gato-Calvo, Lucía; Magalhaes, Joana; Ruiz-Romero, Cristina; et al (2019). “Platelet-rich plasma in osteoarthritis treatment: review of current evidence”. Therapeutic Advances in Chronic Disease 10: 204062231982556. doi:10.1177/2040622319825567. PMC 6383098. PMID 30815245. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6383098/. 
  4. ^ a b Dhurat, Rachita; Sharma, Aseem; Goren, Andy; et al (2019-5). “Mission impossible: Dermal delivery of growth factors via microneedling”. Dermatologic Therapy: e12897. doi:10.1111/dth.12897. PMID 30963686. 
  5. ^ Akeda, Koji; Yamada, Junichi; Linn, Erikka; et al (2019).

    Platelet-rich plasma in the management of chronic low back pain: a critical review

    . Journal of Pain Research Volume 12: 753–767. doi:10.2147/JPR.S153085. PMC 6394242. PMID 30881089. https://doi.org/10.2147/JPR.S153085.
     
  6. ^ Zotti, Francesca; Albanese, Massimo; Rodella, Luigi; et al (2019). “Platelet-Rich Plasma in Treatment of Temporomandibular Joint Dysfunctions: Narrative Review”. International Journal of Molecular Sciences 20 (2): 277. doi:10.3390/ijms20020277. PMC 6358929. PMID 30641957. https://doi.org/10.3390/ijms20020277. 
  7. ^ Varshney, Shailesh; Dwivedi, Anshuman; Pandey, Vibha (2019). “Antimicrobial effects of various platelet rich concentrates-vibes from in-vitro studies-a systematic review”. Journal of Oral Biology and Craniofacial Research 9 (4): 299–305. doi:10.1016/j.jobcr.2019.06.013. PMC 6611965. PMID 31316893. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6611965/.