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2018年12月28日 (金) 08:41時点における版
ステロイド外用薬離脱[1](topical corticosteroid withdrawal[2])、脱ステロイドとは[3]、長期的に頻繁にステロイド外用薬を使用した後、使用を中止する(離脱する)ことで生じる皮膚症状の増悪である[4]。ステロイド依存(steroid addiction[2])。
歴史
医薬品としてのステロイドは1952年に登場した。
2015年に、全米皮膚炎学会(National Eczema Associationの仮訳)はステロイド外用薬離脱についてのシステマティックレビューを行い、最初の報告は1969年の論文であり合計294論文を発見した[2]。
症状
症状は薬の中止後数日から週数間で生じる[2]。
全米皮膚炎学会のシステマティックレビューから述べる。最も特徴的な罹患層は、長期的に頻繁にステロイド外用薬を「顔」(文献の97%)に使用した「女性」(81%)で、およそほとんどが「中等度から高い効力」のステロイド(98.6%)を使った[2]。また多いのは陰部への使用[2]。
9割以上で紅斑を呈した[2]。灼熱感、痛み、痒み、顔面のほてりの報告も多い[2]。紅斑性浮腫型、丘疹膿疱性型のサブグループが想定された[2]。
- 紅斑性浮腫型
9割でアトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎のような基礎となる皮膚疾患があり、皮膚が剥がれ、腫脹や浮腫も起こることがある[2]。
- 丘疹膿疱性型
このグループの人はニキビを目的として使っており、膿疱や丘疹が生じており、灼熱感・刺痛は少ない[2]。([5])
呼称
- Topical corticosteroid withdrawal(ステロイド外用薬離脱、全米皮膚炎学会によるシステマティックレビュー、2015年)[2]。
- Topical steroid addiction(ステロイド外用薬依存)としたのは、日本の研究者の2014年の研究で、内服薬もあるので外用薬(局所)を表す Topical のが重要とした[4]。
addiction の言葉は、1973年にオーストラリアの医師によって用いられた[4]。この言葉の訳語や意味の変化については嗜癖を参照。
出典
- ^ 南宏典、佐藤健二、乾重樹、前田知子、田口博康「重症成人型アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用剤離脱」『皮膚』第38巻第4号、1996年、440-447頁、doi:10.11340/skinresearch1959.38.440、NAID 130004045710。
- ^ a b c d e f g h i j k l A systematic review of topical corticosteroid withdrawal 2015.
- ^ 遠藤薫、吹角隆之、足立準、小嶋益子、青木敏之「アトピー性皮膚炎とそのステロイド療法」『日本臨床皮膚科医学会雑誌』第44巻、1995年4月15日、108-111頁、NAID 10010490917。
- ^ a b c Fukaya M, Sato K, Sato M, et al. (2014). “Topical steroid addiction in atopic dermatitis”. Drug Healthc Patient Saf: 131–8. doi:10.2147/DHPS.S69201. PMC 4207549. PMID 25378953 .
- ^ ニキビへの使用は推奨されていない林伸和、古川福実、古村南夫 ほか「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」『日本皮膚科学会雑誌』第127巻第6号、2017年、1261-1302頁、doi:10.14924/dermatol.127.1261、NAID 130007040253。
参考文献
- Hajar T, Leshem YA, Hanifin JM, et al. (March 2015). “A systematic review of topical corticosteroid withdrawal ("steroid addiction") in patients with atopic dermatitis and other dermatoses”. J. Am. Acad. Dermatol. (3): 541–549.e2. doi:10.1016/j.jaad.2014.11.024. PMID 25592622.