「ヘパリン類似物質 (外用薬)」の版間の差分

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== 後発医薬品について ==
== 後発医薬品について ==
[[2012年]]2月、[[日本皮膚科学会]]雑誌に掲載された論文によると、先発医薬品であるヒルドイドと[[後発医薬品]]との比較試験において、塗布による角層中水分量増加の効果は、後発医薬品が明らかに劣ると発表された<ref name="cinii">{{Cite web|author=野澤 |url=http://ci.nii.ac.jp/naid/130004708865|title=ヘパリン類似物質含有製剤の先発医薬品と後発医薬品の評価|publisher=[[CiNii]]|date=2012-02|accessdate=2016-08-21}}</ref>。それに対し独立行政法人[[医薬品医療機器総合機構]]が行った文献調査結果では、試験方法について齟齬や不明な点があり懐疑的な見解が示されているものの、油中水型の製剤であるヒルドイドと水中油型の製剤である後発医薬品との違いが、皮膚透過性に影響したことが考えられると結論付けている<ref name="pmda">{{Cite web|url=https://www.pmda.go.jp/files/000144979.pdf|title=文献調査結果のまとめ(平成24年4月9月)|format=PDF|publisher=独立行政法人[[医薬品医療機器総合機構]]|page=4|accessdate=2016-08-21}}</ref>。また、同様の実例については、2016年4月、[[医学書院]]発行の『週刊医学界新聞』でも言及され、後発医薬品の中でも外用薬に関しては、配合剤が同じである以外は同等性が保証されておらず、基剤の違いは持続時間など効果に影響することもあり、その差が先発医薬品のヒルドイドを選択する根拠になるとの見方がなされている<ref name="igaku">{{Cite web|author=安部 正敏|url=http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03171_04|title=皮膚疾患の外用療法 - 週刊医学界新聞3171|publisher=[[医学書院]]|date=2016-04-18|accessdate=2016-08-23}}</ref>。
[[2012年]]2月、[[日本皮膚科学会]]雑誌に掲載された論文によると、先発医薬品であるヒルドイドと[[後発医薬品]]との比較試験において、塗布による角層中水分量増加の効果は、後発医薬品が明らかに劣ると発表された<ref name="naid130004708865">{{Cite journal |和書|author1=野澤 |author2=大谷道輝 |author3=松元美香 ほか |date=2012 |title=ヘパリン類似物質含有製剤の先発医薬品と後発医薬品の評価 |journal=日本皮膚科学会雑誌 |volume=122 |issue=2 |pages=371-373 |naid=130004708865 |doi=10.14924/dermatol.122.371 |url=https://doi.org/10.14924/dermatol.122.371}}</ref>。それに対し独立行政法人[[医薬品医療機器総合機構]]が行った文献調査結果では、試験方法について齟齬や不明な点があり懐疑的な見解が示されているものの、油中水型の製剤であるヒルドイドと水中油型の製剤である後発医薬品との違いが、皮膚透過性に影響したことが考えられると結論付けている<ref name="pmda">{{Cite web|url=https://www.pmda.go.jp/files/000144979.pdf|title=文献調査結果のまとめ(平成24年4月-9月)|format=PDF|publisher=独立行政法人[[医薬品医療機器総合機構]]|page=4|accessdate=2016-08-21}}</ref>。また、同様の実例については、2016年4月、[[医学書院]]発行の『週刊医学界新聞』でも言及され、後発医薬品の中でも外用薬に関しては、配合剤が同じである以外は同等性が保証されておらず、基剤の違いは持続時間など効果に影響することもあり、その差が先発医薬品のヒルドイドを選択する根拠になるとの見方がなされている<ref name="igaku">{{Cite journal|author=安部正敏|url=http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03171_04|title=皮膚疾患の外用療法|journal=週刊医学界新聞|isshue=3171|publisher=[[医学書院]]|date=2016-04-18|accessdate=2016-08-23}}</ref>。


== 出典 ==
== 出典 ==

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ヒルドイドソフト軟膏0.3% 25g 上-表、下-裏。
ヒルドイドソフト軟膏0.3% 25g 上-表、下-裏。

ヘパリン類似物質(Heparinoid)は、保湿剤のひとつ。マルホによる薬効分類の標ぼうは、血行促進・皮膚保湿剤である[1]。医薬品ではヒルドイドマルホ)、一般医薬品ではアットノン(小林製薬)など後発医薬品も存在する。軟膏剤とローション、スプレータイプがある。

販売

日本では、1954年マルホが凝血阻止血行促進剤としてヒルドイドを販売開始。1990年に皮脂欠乏症の効能を追加、薬効分類を血行促進・皮膚保湿剤に変更。系列製品の販売は、1996年に「ヒルドイドソフト」を、2001年に「ヒルドイドローション」。[2]

効能・効果

ヒルドイドゲルの適応症階下である[3]

  • 外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎
  • 血栓性静脈炎、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)
  • 凍瘡
  • 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、
  • 進行性指掌角皮症、
  • 筋性斜頸(乳児期)

ヒルドイドクリーム0.3%・ヒルドイドソフト軟膏0.3%・ヒルドイドローションでは「皮脂欠乏症」の追加がある[4]

適応外処方の広がりに対する提言

美容目的での処方が問題となり、2017年に日本皮膚科学会は保険適用外とすることも視野入れて適正処方を提言した[5]

後発医薬品について

2012年2月、日本皮膚科学会雑誌に掲載された論文によると、先発医薬品であるヒルドイドと後発医薬品との比較試験において、塗布による角層中水分量増加の効果は、後発医薬品が明らかに劣ると発表された[6]。それに対し独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行った文献調査結果では、試験方法について齟齬や不明な点があり懐疑的な見解が示されているものの、油中水型の製剤であるヒルドイドと水中油型の製剤である後発医薬品との違いが、皮膚透過性に影響したことが考えられると結論付けている[7]。また、同様の実例については、2016年4月、医学書院発行の『週刊医学界新聞』でも言及され、後発医薬品の中でも外用薬に関しては、配合剤が同じである以外は同等性が保証されておらず、基剤の違いは持続時間など効果に影響することもあり、その差が先発医薬品のヒルドイドを選択する根拠になるとの見方がなされている[8]

出典

  1. ^ 製品一覧”. マルホ株式会社. 2016年8月21日閲覧。
  2. ^ 沿革”. マルホ株式会社. 2016年8月21日閲覧。
  3. ^ 添付文書” (PDF). マルホ株式会社. 2016年8月21日閲覧。
  4. ^ 添付文書” (PDF). マルホ株式会社. 2016年8月21日閲覧。
  5. ^ ヒルドイドなどの適正処方、学会が呼びかけ 美容目的での処方増大で近年話題に”. m3.com (2017年10月25日). 2018年12月10日閲覧。
  6. ^ 野澤茜、大谷道輝、松元美香 ほか「ヘパリン類似物質含有製剤の先発医薬品と後発医薬品の評価」『日本皮膚科学会雑誌』第122巻第2号、2012年、371-373頁、doi:10.14924/dermatol.122.371NAID 130004708865 
  7. ^ 文献調査結果のまとめ(平成24年4月-9月)” (PDF). 独立行政法人医薬品医療機器総合機構. p. 4. 2016年8月21日閲覧。
  8. ^ 安部正敏 (2016-04-18). “皮膚疾患の外用療法”. 週刊医学界新聞 (医学書院). http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03171_04 2016年8月23日閲覧。. 

関連項目

外部リンク